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サグラダ・ファミリア地区の観光公害軽減計画

case | 事例

様々な利害関係者が共同で策定してきたサグラダ・ファミリア大規模アトラクション(EGA)アクションプラン(2024年~2027年)が市当局の施策として区議会に提出された。計画の主な目的は、公共空間の過密状態の緩和、地元商業の多様化の促進、来場者の人流による影響の軽減、近隣地域の地域活動のための空間再確保にある。

公共空間の過密化は、その空間を利用する人の数に起因するものであ一方で、その空間が集中的に使用されることを想定して設計されていないということにも起因することから、公共空間の過密化の緩和と改善のために都市計画の変革にも焦点を当てている。地元の商業に関しては、多数の観光客が来訪することによって、地元コミュニティ向けのサービスや商業が観光向けに置き換えられてている。地元住民の日常生活に必要な地域商業の多様化を促進することを目的として、経済活動の多様化、無許可活動の規制、経済活動の検査、住宅用途の転換、地域の活性化などが図られる。毎年サグラダ・ファミリアとその周辺を訪れる1,800万人から2,200万人と、地域に住む人々との間に共存、安全とセキュリティ、騒音、ゴミ、規制違反などの問題が生じていることから、来訪者の人流を規制するために、観光用途のバス停整備、タクシー乗り場と移動プラットフォーム整備、自転車とパーソナルモビリティ・公共交通機関の充実化などが進められる。観光客の大量流入は、地元住民の日常生活に影響を与え、文化や地域活動のための公共空間が制限されていることから、コミュニティの結束、地域内のコミュニケーション、脆弱な立場の人々への配慮、文化や地域活動などの課題に取り組んでいく。

具体的には、市当局や交通部門、観光ガイド協会による監視グループの統合、治安要員の増加、都市路上販売や営業通行に関する取り締まりの強化、公共空間の再編、緑化と街路設備の拡充、観光バスの削減と効率的な管理、自転車ネットワークの改善、地元店舗のアクセシビリティを保証する対策、電線の地中化、都市開発プロジェクトなどが実施または計画されている。計画された計37のアクションを実施するために、サグラダ・ファミリアEGAには総額15,442,200ユーロ(約25億円)の予算が割り当てられ、2024年から2027年の間に投資される予定である。

insight | 知見

  • 観光公害の先進都市であるバルセロナの具体的な計画は、日本の困っている都市にとって参考になるのではないでしょうか。大人数に対処できるような都市の計画、地域向け商業・サービスの支援・振興、交通のスムーズ化・多様化、コミュニティの結束強化、といった分野に取り組むことが重要なのだとバルセロナの事例からは示唆があります。