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テキサス州の主要都市は企業誘致に成功しているが過剰供給が原因でオフィス市場は苦戦

case|事例

ヒューストン、ダラス、オースティンなどのテキサス州の主要都市は、沿岸部大都市からの企業誘致に成功しているが、オフィス市場は苦境にあえいでおり、全米で最も空室率の高い水準にある。第3四半期現在でテキサス主要都市のオフィスの空室率は25%程度である。一方で、NYCは12%、サンフランシスコは17%と、人口や労働力が流出している東海岸や西海岸の都市よりもテキサス州の主要都市の方がオフィス市場は深刻な状況にある。

その原因のひとつがオフィスの過剰供給にあると考察されている。ヒューストン、ダラス、オースティンの3都市は、1980年代に建設ラッシュが起こり、税制がディベロッパーに有利に改正され、緩やかな融資が受けられる環境がバブルを引き起こした。1990年代にも建設ラッシュが起こり、オフィスの過剰供給はより加速したと言われる。

リモートワークの浸透がオフィス市場の苦戦の理由として挙げられることがあるが、テキサス州の労働者は他の週よりもオフィス回帰への願望が強く、リモートワークはさほど進んでいないため、長期賃貸契約の満了後に影響が出る可能性はあるが、リモートワークはオフィス市場の脅威とは言い難い。実際、経済が好況で経済成長と雇用創出が進むアトランタでも、オフィス市場は苦戦している。

また、主要都市郊外はより深刻な状況にある。古いオフィスコンプレックスはオフィスワーカーの好みではなくなり、新しい世代はウォーカブルな都市環境にある現代的なオフィスを好むようになっている。ダラス郊外のオフィスコンプレックスでは空室率が70%という状況にある。

Texas Cities Are Booming, but Their Offices Are the Most Vacant

insight|知見

  • 福岡市都心部の再開発にもとても示唆がある記事だと思います。やはり再開発と需要創出はセットだなと改めて思いました。福岡市でも、スタートアップの育成や国際金融機能の誘致などに取り組み、オフィス需要の獲得を進めていますが、今後の床供給を考えると、より幅広な業種の企業誘致が必要かもしれません。特に百道や呉服町のオフィスの状況をみると、経済のエコシステム構築も考えなければならないだろうと思います。

  • 記事でもうひとつ興味深かった点は、ウォーカブルな環境をオフィスワーカーが好むようになっているという点です。ビル個別のスペックだけでなく、立地する環境をよりウォーカブルにしていくことがエリアの競争力を高めていくということだと思います。ここは個々の事業者や街区をつなげて街づくりをしていくエリマネの役割かもしれません。