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バンクーバーは市内全域ですべての用途に対して駐車場附置義務を撤廃

case|事例

バンクーバー市議会は、市内全域のすべての用途の開発を対象に、附置義務駐車場の最低整備台数要件を撤廃することを決定した。現在、バンクーバーでは、都心部とブロードウェイ・プラン・エリア以外で新規開発時に駐車場の最低整備台数が定められており、開発者にその整備義務が課されている。最低駐車台数は、住宅の戸数や各用途の床面積に応じて、定められた原単位に基づいて算出される。

今回の附置義務制度の改正は、ブリティッシュ・コロンビア州政府が小規模住宅開発と公共交通指向型エリア内での開発に対して行った2023年秋の住宅法令の改正に伴うものである。この州政府の改正は、2024年6月30日までに、小規模住宅の開発と公共交通指向型エリア内の開発に対する駐車場附置義務の最低整備台数要件を撤廃することを基礎自治体に求めるもので、バンクーバーはその2つに加えてすべての用途に対して要件の撤廃を決定した。

これまでバンクーバーでは、公共交通の改善などによって駐車場の必要性は減少していたものの、多くの開発において開発者は大規模地下駐車場を建設する必要が生じるため、プロジェクトのコスト増加や実行可能性の低下を引き起こしていることが課題となっていた。この課題に対してバンクーバーは、2018年に都心の開発とウェストエンド地区の非住宅用途で附置義務要件を撤廃したことを皮切りに段階的に附置義務制度の改正を行っている。今回の改正によって開発申請や審査のプロセスが簡素化され、プロジェクトの進行の迅速化が期待されている。また、この改正で駐車場整備が禁止されるわけではなく、開発者はニーズに応じた適切な駐車場整備が求められることになる。

insight|知見

  • バンクーバーは2023年秋に交通需要マネジメントのガイドラインを改訂し、自転車インフラの整備やカーシェアサービスの提供、公共交通パスの提供などとバーターで附置義務台数を減免する制度を導入しているようです。そこから約半年で附置義務要件を全廃する判断はかなりスピード感のある制度改定です。

  • 記事中にあるように、公共交通の改善などで駐車場ニーズが減ってきているというのが、このスピード感のある大胆な意思決定を支えているのだろうと思います。公共交通の担い手不足し、自動車依存からの脱却が何十年と課題になっている日本との差を感じます。

  • 先日、とある都市が交通基本計画を改定するにあたって、自動車利用を促進するような政策を考えているという話を聞いて驚愕しました。日本で総合交通体系を考えた都市交通計画が根付くのはいつになるのだろうなと記事を読んでさらに悲しくなりました。