見出し画像

オーバーヒートした都市の冷却には公園や緑地が重要

case|事例

公園や街路樹、屋上緑化、庭など、都市における自然ベースのソリューションが、熱された都市を冷やし人々の行動を環境負荷の高くないものへ変容させるために大きな効果をもつことに研究者らが注目し始めている。

都心の環境負荷を下げるための技術的なソリューションはすでに開発が進み実装されている。ソーラーパネルやヒートポンプなどの技術が代表的だが、それらの実用化された技術は化石燃料の使用を実際に抑えている。しかし、沸騰化する都市において環境負荷を下げるには、これらの技術的ソリューションの組み合わせだけでは十分とは言えない。それは、夏の間、暑くなった都市で人々は生活様式を変える傾向にあり、自転車での移動をやめクーラーのきいた自動車をやむをえず使うような行動変容が起きがちになるためだ。すなわち、屋内環境やエネルギーの生成だけではなく、都市環境も改善し、暑さへの対応をする必要がある。

沸騰化する都市における都市環境の改善として注目されているのが都市内の緑化である。既往研究でもその効果が明らかにされている。例えば、衛星画像を用いたヨーロッパ54都市を対象にした研究では、都市環境に自然を取り込んだ都市(例えば、スペインのサラゴサやキプロスのニコシア、北欧の諸都市など)は他の都市よりも涼しくなっている傾向がみられ、また市民の行動も環境に望ましいものとなっていると指摘されている。さらにそれらの都市では二酸化炭素の削減効果が25%程度と推計されている。

insight|知見

  • 都市内の公共空間の重要性が近年指摘されていますが、この暑さで緑陰がないとなかなか使う気になりませんね。また移動についても、熱中症になりそうで、自転車や徒歩は避けてクーラーのきいた自動車を使いたくなります。(公共交通への利用転換は自動車よりもはるかに望ましいですが。)

  • グルーんインフラやGXなどの言葉も聞かれ始めましたが、確か都市環境の冷却技術の開発や計画論の設計などは十分進んでいないような気がします。道路構造令や街路樹選定の考え方などが、年々暑くなる都市でどうあるべきかという議論がどんどん盛んになるといいですね。