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商業施設に果樹園を組み込んだベルリンの立体農場
case | 事例
ドイツの建築事務所HENNが設計した立体農場は、ベルリン南東部の歴史的な工業用地の活性化を目指すベーレンス・ウーファー・プロジェクトの目玉である。この革新的な構造物は、都市型農業とワークスペース、研究施設を統合したもので、階段状になった屋上庭園の下には9,000平米の水耕栽培農場とテラスガーデンが整備される。海岸地域の農業景観から着想を得たこの庭園には、パーゴラに蔓性の植物、ベリーなどの果樹や養蜂箱が設置され、レクリエーションと生態系のバランスを保つ空間となっている。
この立体農場は、ハイブリッドな木造構造を採用することで、資源とエネルギーの消費を最小限に抑えている。 太陽光発電の発電面積を増やすため、ガラス製の大型窓がファサード全体にわたって太陽光発電パネルと組み合わされている。屋上に設計された農業と発電の両方を可能にするアグリボルタックシステムは、その面積を最大限に活用し、農業と発電の両方に最適な面積を確保している。 建物の設計は、機能の柔軟性を考慮しており、将来的な用途にも対応できるように考えられている。 建物には川沿いの遊歩道に面したアーケードがあり、農園への訪問者を誘う景観となっている。ゆるやかに上昇するレベルは丘のような存在感を演出し、丘陵地帯の果樹園を散策しているような気分にさせる。
インダストリアルデザインの先駆者であるピーター・ベーレンスにちなんで名付けられたベーレンス・ウーファー・プロジェクトは、保存登録された産業用建物の修復と再利用を目的としている。立体農場は、都市に都市型農場を組み込むためのテンプレートとして機能し、食糧安全保障と持続可能性に取り組むものである。このプロジェクトは、かつての工業用地を、重要な公共空間を備えた活気のある複合商業施設に変え、この古い工業地区を再活性化することを目的としている。
insight | 知見
都市内の階段状のグリーン建築といえばアクロス福岡ですが、もしアクロスのステップガーデンの植栽の果樹の割合が多かったのであれば、今まさに都会の果樹園となっていたのではないかと、記事を読んで妄想しました。
都市にあるオフィスや研究施設を、人々が集える豊かな公共空間にしていく試みの一例だと思います。気候変動や食糧安全保障の観点を組み合わせることが持続可能な地域のブランドを作っていくことにもつながりそうです。