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河川で水泳を可能にする世界の都市の動き

case | 事例

都市河川を泳げるようにする動きは世界的に広がりを見せており、都市が汚染された水路を活気のあるレクリエーションスペースへと変貌させている事例が現れている。ニューヨーク市の+POOLシカゴ・リバー・スイムのような取り組みは、都市景観と水辺のレクリエーションを融合させる先導的な役割を果たしている。9月22日に開催されるシカゴ・リバー・スイムは、安全上の懸念から最終的にはオハイオ・ストリート・ビーチで行われることになったが、同市では約1世紀ぶりのオープンウォータースイミングイベントとなる。開催場所が変更されたものの、主催者はこれを今後の河川での水泳の取り組みに向けた足がかりと捉え、このようなプロジェクトの課題と可能性を強調している。

+POOLは構想当初からニューヨーカーに安全な水泳の選択肢を提供するという目標を設定しており、それに向けて、マンハッタンのピア35に浮遊式のプール設置の場所を確保し、2025年夏までに一般公開される予定となっている。現在、最終テスト段階にある+POOLは、1日あたり100万ガロン(約3,800立米)の水をろ過できる技術を導入しており、清潔な水泳環境を提供することで、環境衛生と公共の安全を確保しつつ、住民が水路と再びつながり、水辺での活動の空間を提供する予定だ。

コペンハーゲンやバーゼルなどの都市では、都市の設計において水泳空間を組み込み、使われてこなかった河川をレジャー利用に再生させることに成功している。コペンハーゲンのハーバーバス、バーゼルのライン川スイミングなどは地域住民や来訪者に歓迎されている。このような取り組みは、気候変動への適応だけでなく、公共空間へのアクセスの重要性が増してきた動きと一致しており、自転車専用道や公園と並んで、水泳可能な河川は都市設計の一部として取り入れられているのだ。パリオリンピックでセーヌ川でのトライアスロンが注目を集めたが、都市の水路のポテンシャルが示され、汚染された河川を公共の空間に変えることについての議論を再燃させている。泳げる都市アライアンス(Swimmable Cities Alliance)のような団体は、都市計画に水泳へのアクセスを組み込むことで都市の体験を活性化すべきだと主張している。

insight | 知見

  • 先週の当コラムの記事でNYCの+POOLを紹介しましたが、他にも色んな都市で都市を流れる川で水泳ができるようにする動きがあるのですね。都市の河川で泳いだ経験はありませんが、水面から見る都市はまた違った一面があるのではないかと想像します。

  • 酷暑が続いていますので、都心で水質と安全性が確保された水泳や水遊びができる親水公共空間があれば、地域住民も観光客も水辺を楽しみに来ると思います。規制の多い日本の河川をうまく利用する良いアイデアがあるといいですね。