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制限速度を20マイル/hに引き下げたウェールズは保険請求額が20%減少

case|事例

大手保険会社は、2023年9月に制限速度を上限20マイル/h(約32km/h)に引き下げたウェールズで、車両の損害賠償請求額が20%減少していることを公表した。ウェールズは、世界ではじめて市街地の制限速度を20マイル/hに引き下げた国のひとつで、2024年2月に公表された平均走行速度のデータでは平均4マイル/hの走行速度の低下が確認された。

保険会社によると、通常、保険請求額が増加する時期においても保険の請求額は減少しており、今もその傾向は続いているという。制限速度の引き下げが交通安全の向上に効果をもたらしているように読み取れるが、国民からの評価は必ずしも芳しくない。ウェールズ政府は、50万人分の反対署名が集まったことなどを受けて、速度制限の適用エリアなどの修正を迫られている。学校や病院の近くや住宅街などでは住民からの支持も高いが、それ以外では根強い反対がある

保険会社によるデータの公表は、保守党が両地域の有権者の判断を覆すように、ウェールズでの速度制限の修正を一方的に行うことやロンドンのULEZの縮小を決める法案を英国議会で承認したタイミングであったため、今後の総選挙にも影響を与えそうだ。

insight|知見

  • 日本でも、先日、狭隘な生活道路の法定速度を30km/hに引き下げるという政府方針が発表されました。ウェールズにように事故の減少につながるといいなと思います。

  • ウォーカブルな地区形成は、商業地区や業務地区内の街路だけでなく、住宅地区内の街路でも意義が高いと思います。歩車共存型のコミュニティ道路はかつて「ボンエルフ」と呼ばれ(今も呼ばれていますが)、各地で導入が進みました。ボンエルフはオランダ語で「生活の庭」という意味です。住宅地内で地域が共用するリビングのような空間が増えても面白いのではないかと思います。