10. コミュニケーションが上手い人


まず初めに言っておきたいのは、僕はコミュニケーションが得意ではない。無口で大人しくて何を考えているか分からないとよく言われるし、おそらく周りからはコミュ障とでも思われている。


多くの人が、他人と積極的に関わる人=コミュニケーションが上手い人だと思い込んでいるが、僕はそれは正しくないと思う。
たしかに、積極的に他人と関わろうという姿勢は素晴らしいと思うし、簡単なことではない。ただそれは、世間一般で言う「コミュ力が高い」であって、「コミュニケーションが上手い」ではない。コミュ力が高くても、コミュニケーションが上手い人はなかなかいない。
例えば猪突猛進型で、ただ自分のことばかりを喋って、相手の話はろくに聞かないような人がいる。例えば相手のボケに気づかずマジレスしてしまう人がいる。
コミュ力が高い=コミュニケーションが上手いというのは浅はかだし、コミュニケーションとはもっと複雑なものではないだろうか。

では、どのような人がコミュニケーションが上手いと言えるのか?
僕の中にある答えは、
相手の心の中にあるものを引き出し、気持ちよくしてあげられる人」である。
言い換えれば、「相手に興味を持って深掘りできる人」だ。

実際に、自分に向けて質問を投げかけてくれると、「この人自分に興味持ってくれているんだ」と嬉しくなり、どんどん話が弾むことがあるだろう。こういう人とはコミュニケーションが気持ちいいし一緒にいて居心地がよく感じる。なぜなら人間は皆、喋りたがりの生き物だからだ。
この相手を引き出す力を持つ人は、距離感がちょうどよく、潜在的にコミュニケーションが上手い傾向にあるように感じる。

そもそもコミュニケーションとは、互いの考えや気持ちを伝える意思疎通や情報伝達のことを意味する。
より分解すると、些細なことに気づくだとか、気を遣うとか気持ちを察するとか、その多くは見えない部分にあるはずだ。そのため、情報を処理する能力や理解するための知識が必要となる。だからある程度の頭のよさや教養がなければ、コミュニケーションが上手くいかないのは必然だ。

また、外向的な人が必ずしもコミュニケーションが上手いとは限らないし、内向的な人が下手であるとも限らない。積極性、言語化能力、思考力、気遣いなど、コミュニケーションを構成する要素は無限にあり、より多くの要素を高い水準で保っている人こそが最強のコミュニケーションの持ち主である。

ただ、そのすべてを兼ね揃えているような完璧人間はなかなかいないし、秀でた部分を断片的に切り取り、「あの人はコミュニケーションが上手い」と理解する。何を重要視するかは人それぞれだから、コミュニケーションが上手いという定義に正解はない。
だが、多くの場合、コミュニケーションが上手い人のイメージは一致する。それはつまり、コミュニケーションが上手い人に共通する、何かしらの要素があるということではなかろうか。

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