もう一度
例えば、目の前で誰かが命を失う瞬間に。手を伸ばせば、届いていたかもしれないその生に。ほんのわずかな、十二時間に満たない自身の怠惰による失態が。全てを終わらせてしまうことが、あるかもしれない。
今日を悔いても明日が来る。ならばせめて昨日など見ずに、明日を見られるならいいのに。どれほど悔いても、悔いても、悔いても、悔いても、悔いても、腹が減り、明日が来る。
胃液をこれ以上吐き出したくない。僕の体が、昨日を、一昨日を、忘れていく。三か月後の僕の体に、彼に触れた痕跡はなくなる。それを失わないように、せめて昨日のままの自分でいるために。どれほど抑え込んでも、全身が吐き出そうとする。いつか、消えていく。
涙を流す。いずれ涙が止まると、ぼう、とどこかを見つめる。脳が止まっている間にも、どうも時は流れているよう。勤勉な時が、僕の怠惰を笑っている。それに気づくと、また最初に戻る。
違和感に気づいた。強がっているように見えた。嘘を吐いているような気がした。
でも、全部何となくだった。だから、もし違ったらと、考えてしまったのだ。僕は君のことを知らず、自分のことも信じられなかった。もはや何も信用などできない。
でも、こうも考えてしまう。きっと動いていたって無駄だったのではないか、と。こんな僕は、とても愚かだ。
次は無い。神に祈る今ならある。神に縋ろうとする明日の自分の姿が容易に想像できる。
もう一度、昨日が来ないだろうか。
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