200312 理想の時間を過ごす

子どもの頃からお世話になっている美容室に髪を切りに行った。
私が進んで世間話だとかをしない質なのを向こうも知っていて、施術中は最低限のやりとり以外は雑誌や漫画を読むのに集中させてくれる。家を離れて生活していたときもここ以外に行きつけの美容室はできなかったし、これからもできないんじゃないかと思う。

そんなに仰々しく考えずとも出掛ける前に一本電話入れるくらいの気軽さでいいと分かっているのに、どうにも億劫で「平日だしいいや」と前もって美容室に連絡するのをいつも怠ってしまう。別に後に予定が詰まっているわけでもなし、いつもそれでなんとかなっているから甘えているところもある。
けれども今日ばかりは出向いた昼前の時間帯は予約がいっぱいで、改めて午後に予約を入れてもらうことになった。

ということで、先にお昼を食べに向かった。最近流行りの隠れ家的というか昔ながらの建物がいい雰囲気をだしている喫茶店で、食事も美味しく、この辺りではそこそこ有名らしい。

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これは前回10月に初めて訪れたときの写真だけれど、奥の方で誰かがランプのある机に向かっている席に今日は座った。壁に隠れているが左隣の棚に本が並んでいて、周りの喧騒からほんのすこし離れたあの席を使ってみたいと当時から思っていた。

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今日食べたオムカレー+デザート(季節のタルト/今回はリンゴだった)+ドリンクのセット。前回オムライスを食べて「ほっぺたが落ちるとはこのことか」と感嘆したのが印象強く、違うものが食べたいと思いつつもオム要素から離れられなかった。もちろんこっちも期待を裏切らない美味しさだった。ごちそうさまでした。

(ところでこのオムカレー、あとからお店の人が言ったことには間違えてランチサイズよりも量を多く提供してしまったらしい。私は何も気付かずに美味しく平らげたのだが、前回の写真と見比べると当時の記憶がよみがえったのも手伝い確かにお皿が少し大きかったのが感じられた。)

食事を終え、美容室の予約の時間まで一時間半近く、ここで本を読んで過ごした。川口俊和の『コーヒーが冷めないうちに』を半分ほど読んだ。帯がやたら「泣ける」を売りにしているのが鼻についたけど、私はこういう宣伝文句を見ると「本当に泣けるかどうか試してみようじゃないか」と思うほうなのと、何より喫茶店が舞台の物語を喫茶店で読むのもおもしろいと手に取った。
後で――というかこのエントリーを書くにあたって調べたところ、原作は戯曲で後に劇作家本人が小説として出版し、2018年には映画化もしていたらしい。

予約の時間が近付くと慌てて会計を済ませ、外に出た。『コーヒーが冷めないうちに』の具体的な感想はここには書かないが、喫茶店を後にしたあの瞬間、小説の中のいろいろな光景が脳内にフラッシュバックして不思議な体験をしたことは記しておこう。

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詳しいことはよく分からないのだが、喫茶店の近くにはアヒルやら烏骨鶏やらがうろうろしている。(アヒルの写真は10月のもの。今回は時間がなくてゆっくり付近の散策ができなかった)

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