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建物が「高断熱」ってどういうことなの?

みなさん、こんにちは。LIXIL住宅研究所note編集部です。
突然ですが皆さん、建物の「高断熱」って聞いてどんなことを想像されますか?「建物の断熱性能が高いってことでしょ?」「冷暖房の効果を逃がさないから、省エネなんでしょう?」なんてことを想像されるものと思います。まったくその通りです。ですが、どれだけ良いのか、具体的な数字や効果ってよくわからないってことはないですか?
今回は、最近の住宅では当たり前に言われている「高断熱」について詳しく紹介したいと思います。


なぜ断熱性能が必要なの?

近年、地球温暖化の原因がCO2などの温室効果であることがほぼほぼ確定。CO2削減のためには、電力を作るために石炭を燃やしているような火力発電やガソリンを燃やして走る自動車などの使用を減らしていく必要があります。逆に、太陽光や水力など自然エネルギーを活用した電力に変えていかなければいけないなどの状況となっています。さらに、CO2を減らすためには事業活動である産業分野、輸送分野だけでなく、住宅分野でも削減することが求められています。

一方、日本の住宅はこれまで夏涼しく、冬寒いという傾向がありましたが、近年有識者の方々からは、冬場の健康維持のためには住宅内の温度は18度以上すべき、との意見が多くなっています。さらに、夏場の猛暑日が増加傾向となっているため、室内でも熱中症のリスクが高まっていて冷房の効率化も求められてきています。
ということで、「CO2削減(・・結果として電気代の削減)」と「健康維持・増進」の意味から、住まいにおける断熱性能は重要になってきています。

建物の断熱性能とは?

では一体、建物の断熱性能とはなんでしょうか?
それは、「建物からの熱の逃げやすさ」と「建物への日射熱の入りやすさ」の2つの点から建物の断熱性能を見る指標のことです。

●建物の断熱性能の良い悪いは「UA値」と「ηAC値」いう数値で判断することができます。
UA値は、「外皮平均熱貫流率」という断熱性能を数値化したものです。外部と室内の温度差に応じた熱の流れの量を測るもので、この数値が小さければ小さいほど熱が逃げにくいため、断熱性能が良いということになります。反対にこの値が大きければ大きいほど断熱性が悪いということですね。

では、「断熱性能が高い家」とはUA値がどのくらいの家なのでしょうか?
日本は北から南まで細長く、季節による外気温も地域によって大きく異なります。そのため国土交通省は各地域の外気温の傾向や使用されている設備機器などの実態などから、全国を8つの地域に分類し、それぞれの地域のUA値の基準値を公表しています。
ちなみに東京は地域区分5・6地域に該当します。UA値でいうと0.87という数値になります。

ηAC値とは、窓から直接侵入する日射による熱と窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱を評価した、冷房期の指標です。単位日射強度当たりの日射により建物内部で取得する熱量を冷房期間で平均し、外皮等面積の合計で除した値です。値が小さいほど住宅内に入る日射による熱量が少なく、冷房効果が高くなります。この数値も断熱性能に影響してくる部分です。


断熱地域区分と断熱等級ごとのUA値、ηAC値の基準

●住宅の断熱性を示す基準一つが「断熱等級」です。
「断熱等級(断熱等性能等級)」は、住宅の断熱性を示す基準一つで、1-7の7段階あり、これは数字が大きければ大きいほど断熱性が高いことを示しています。2022年にこの「断熱等級」が見直され、それまで1−4の4段階に新たに等級5,6、7の3つの等級が新設されました。1-7の等級にはもちろん基準値があります。

新設された基準について

2022年に新設された等級5、6、7について少し触れておきます。
断熱等級は1980年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」により定められた省エネ基準が反映されており、その内容は制定以降、改正が重ねられてきました、2022年4月に品確法で、等級5が、同年10月に等級6・7が新たに設けられました。

これは、気候変動問題の解決に向けて世界規模で取り組んでいる「2050年カーボンニュートラル」という目標を実現するための取り組みのひとつです。住宅の断熱性能を上げることで排出する炭素量を減らし、将来的な脱炭素化を目指しています。
等級5はいわゆる「ZEH基準」と同等の断熱性能のこと。等級6は「HEAT20 G2」と同等、等級7は「HEAT20 G3」と同等となっています。
それぞれを少し解説していきます。

【等級5】
断熱等級5は、2022年4月に新設されました。等級4の次世代省エネ基準(平成28年省エネ基準)よりも厳しい、ZEH(ゼッチ)の断熱水準を満たす基準が求められています。2030年以降は、すべての新築住宅に断熱等級5への適合が義務づけられることが決定しています。性能としては、断熱等級を4から5に上げたときに、約20%の省エネにつながるレベルとされています。
文中で出てくる、ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略のことです。高い断熱性能の建物に高効率設備の導入することで、大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーなどの導入を行い、エネルギー消費量の収支ゼロを目指すレベルの性能を指します。

【等級6】
等級6は、2022年10月に新設されました。次世代省エネ基準よりも、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量(※)を概ね30%削減できる性能のことを指します。また、別の表現では「HEAT20のG2レベル」の基準を満たす断熱性能を示します。性能としては、断熱等級を4から6に上げたときに、約30%の省エネにつながるレベルとされています。
G2は、地域区分1、2地域で、冬の室温がおおむね15度、その他の地域でおおむね13度を下回らない基準です。

【等級7】
等級7は、断熱等級6とあわせて2022年10月に新設されました。次世代省エネ基準よりも、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量(※)を概ね40%削減できる性能のことを指します。
また、別の表現ではHEAT20のグレードがさらに高いG3レベルの基準を満たす断熱性能を示します。性能としては、断熱等級を4から7に上げたときに、約40%の省エネにつながるレベルとされています。
G3では、地域区分1、2、7地域で冬の室温がおおむね16度、その他の地域でおおむね15度を下回らないことが求められます。

断熱等級のイメージ

※一次エネルギー消費量とは?
「一次エネルギー消費量」とは、住宅で使われている設備機器のエネルギーを熱量に換算した値のこと。 冷暖房だけではなく、換気や給湯、照明なども含めた合計の値を一次エネルギー消費量といいます。

断熱性能の効果は?

断熱性能の高い住まいのメリットには、以下の3つがあります。
1.住まいで使用するエネルギーが節約し、温室効果ガス排出削減につながる
夏や冬の外気温に影響されず、エアコンやヒーターなどの効果が逃げにくいため、電気代を大幅に減らす
ことができます。また、電気使用量を削減できることから、温室効果ガスの削減にもつながります。

2.熱中症やヒートショックのリスクを減らすことができる
断熱効果高めた住まいに、全館空調システムや熱交換型換気システムなどを用いることで建物内の温度差を無くすことができます。夏場、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かず体内に熱がこもった状態になる熱中症や、暖房の効いた部屋から寒い場所へ移動したときなどに、急な温度変化に体が対応できずに起こるヒートショックといった健康リスクを減らすことができます。

3.家族みんなが快適に、長く住み続けられる住まいになる
室内の温度を一定に保つことができるので、冬や夏も快適に過ごすことができます。加えて、室内が外気温の影響を得にくくなるため、結露が発生しづらく、カビなどの心配も少なくなります。

最近の住宅の断熱事情―フィアスホームのご紹介―

昨今の家づくりおいて外せないのが断熱性能です。補助金や住宅ローン減税、ローンを借りる時も「断熱性能」を検討する必要があります。お得に家を建てたい、買いたい、という人は「断熱性能」の高い住まいを選ぶことが大事です。この「断熱性能」をおろそかにすると、冬や夏の外気温の影響を受けやすく、エアコンを常に稼働することになり、届いた請求金額に驚くなんてこともあるかもしれません。今から家を建てるのであれば、断熱等級5以上の断熱性能は最低限必要と思います。
 
当社が運営するフィアスホームでは、オリジナル高性能断熱パネル「eパネル」による断熱性能と、省エネ機器をベースに自然の恵を取り入れた「パッシブデザイン」により、最大限有効な断熱性能を備えたを住まいを提案しています。

この1月には世界の断熱基準に遅れをとる日本の住宅への提言として2015年に発売した商品をリニューアルし、断熱性能を含めた住宅性能さらに向上させ、HEAT20G2 を標準仕様とする「アリエッタDS」を発売しました。「アリエッタDS」は、南面に大きな開口部を設けているのが特長です。大開口を設けることは開放感や日差しの気持ちよさといった情緒的なメリットがある反面、耐力壁不足や開口部からの熱エネルギーの損失(夏は熱が入り冷房効果を低減、冬は寒さが入り、暖房効果を低減させてしまうこと)するなどのデメリットもあります。
「アリエッタDS」は、このメリットを高め、デメリットを解決する住宅として、開口部に「トリプルガラス樹脂サッシ」を採用。高い断熱性のサッシにより熱損失を抑えます。また、本来建物の構造上、重要な壁が必要な部分に開口部を設けるため「鋼製筋交い」を採用することで採光の確保と耐震性の維持を両立します。
高気密・高断熱・高耐震という住宅は壁を多くし、開口部を減らすことで実現することが普通でした。フィアスホームはこれに反したパッシブ設計の思想を取り入れ、高気密・高断熱・高耐震でありながら、吹き抜けや大きな開口など快適な住空間を実現します。

ご興味のある方はぜひこちらをご覧ください。

アリエッタDSホームページ

これからの住まいにおいて絶対に欠かすことのできない「断熱性能」について少し深くご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか?みなさんが住まいを検討される際の参考にしていただければと思います。
 
これからの住まいに断熱性能は大事です、とお話してきました。地震の多い日本では、いまや耐震性の高い住まいは当たり前になってきています。間取りや外観デザインなどにこだわりのある方がほとんどです。しかし断熱性能についてこだわりのある方はほとんどいないのが現状です。

私たちのフィアスホームが提供する住まいは、「高気密・高断熱な性能」+「パッシブデザイン」で作り上げる快適性、利便性、機能性などを備えています。さらに環境への配慮を考え、光や風などの自然エネルギーを有効に活用でき、近い未来おいて当たり前となる住まいづくり取り組んでいます。

家づくりをお考えの方は「断熱性能」について、ちょっと考えてみてください。