大人の絵本『水かがみのむこうで』part1 by リーヴル・ Mei
遠い砂漠の、オアシスの国で、
少女マーイは、きょうも、学校がおわると、
水をはった大きなうつわに、呪文をとなえます。
「水よ 水よ この星の恵みよ
どこかに わたしみたいな子は いるかしら?」
マーイは占いの名人。
水面をかがみのようにして、
これからおこるできごとや、遠くの景色をうつしだします。
そうして、どんなことでも、ぴたりと言い当てることができるのです。
すなあらしのおこる場所や、ヤシの実のとれる数、
まいごのラクダの居場所まで……。
そんなマーイの楽しみは、水かがみに、
外国の景色をうつすこと。
「どこかに わたしみたいな子は いるかしら?」
そう言って、外国の子どもたちのようすを見るのです。
見た目や言葉はちがっても、
自分と同じように、学校で勉強したり、広場で遊んだり、
いっしょに笑ったりしていると、
みんなマーイの友達みたいな気がするのでした。
でも、ある日――
「水よ 水よ この星の恵みよ
どこかに わたしみたいな子は いるかしら?」
いつものようにそう言って、マーイは息をのみました。
見えてきたのは、マーイと同じくらいの少年。
くるしそうに、地面にたおれています。
あたりは、見わたすかぎりの、ほのおの海。
「だれか、だれか助けて……」
少年の声が、聞こえます。
でも、そばにはだれもいません。
見ているのは、マーイひとりだけ。
けれど、遠いオアシスの国の、水かがみの前にいるのでは、
何もしてあげられません。
マーイはおもわず、水かがみにむかってさけびました。
「水よ 水よ この星の恵みよ
どうか、どうか あの子を助けて……!」
そして、大粒の涙をこぼしました。
Story : 真西 結弓(Manishi Yumi)
Image : リーヴル・Mei
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