#3 ひとひら

信仰についての話をしましょう。

3ヶ月ほど前、ノリで宗教団体のフットサル大会に参加してきた。ラーメン二郎と酒を飲んでいた後にそれに参加したせいで体調が完璧に宇宙の終わりを迎えたのだけど(吐きました)、その話はいい。

それから、妙にその宗教団体の人と仲良くなり、最近もピサパをしながら、その人達とその宗教団体の勧誘ビデオを眺めていました。その日のハイライトはその宗教に入ってる後輩に真顔で

『僕はね、福出さん(僕です)には本気で宗教やって欲しいんです。一緒に幸せになりましょう』

と言われたことでしょうか。その後、『僕は毎日、福出さんの幸せを祈ってます』と真剣な眼差しで言われた時は正直、かなり痺れた。なんかこう、自分の今までの人生経験に基づく理解を大きく超えてましたね。俺が人生で祈ったの、会社でのミスが上司に露見しないように、ぐらいですし。カルチャーショックを受けました。

ただ、祈り。宗教と信仰。それらは僕達の日常の中でも案外身近なのではないか。何かを好きになる、誰かを好きになること。心酔すること。例えば、世の中には色んな娯楽があり、その作品に対して好きだと大声で語るほどの熱量があれば、それはもうある種の信仰とも言えるのではないでしょうか。大袈裟ですが、チェンソーマンという作品に心酔してひたすらに追いかけているなら、その感情はチェンソーマンを信仰するという宗教では無いのか。まぁ、宗教は神など超自然的なものに対して行う信仰らしいので、それだと意味は通じなくなりますか。

さて、ではここからは僕にとっての新興宗教の話をしましょう。

まさか四分、上半身裸の人間が口から血を流すだけの映像見せられるとは思わなかった。怖いよ。

ひとひら。2021年結成のロックバンド。東京を中心に活動しているロックバンドで、まだ知名度はそこまで高くないのではないだろうか。

だけど、このロックバンドが出した『human ep』。11分4曲の短いアルバムなので是非皆様にも聞いてほしいのですが、本当にいい曲達。個人的にはfriendsが一番好きです。あと、Calm。

音楽の良さっていったい何なのでしょう。例えば、米津玄師のkick back、あの曲なんかは純粋に聞いてて楽しさや驚きがある。Adoのウタタカララバイも。他だとamazarashiなんかは独特の世界観で心を震わせてきます。まぁ、中にはtiktokとかで若者騙して大したことない音楽で人気出してる詐欺師みたいなバンドも結構あるけど。

で、このバンドの音楽の良さなのですが、破滅に向かうような美しさなのではないかと。こう、あと一歩踏み出せばすべてが終わってしまうような。だけど、何かを壊したり終わったりする瞬間、例えば椎名林檎が本能のMVでガラスをぶち壊すシーン。映画ミッドサマーのラストシーン。the cabsのすべて叫んだ。は、どこか人々に美しいと思わせる力がある。一言でまとめれば、滅びの美学のようなものかもしれません。明るいとか暗い、みたいな分かりやすい分類なんかではなく、海の近くに建てられた灯台をぼんやり眺めているような、有り体に言えば神秘的とでもいうのでしょうか。

ちなみに彼ら、まだ21歳ぐらいと非常に若いらしいです。僕は僕より若くて才能のある人間を妬んでいます。ホンマに憎い。僕が大学生の頃なんてバンド組もうとする以前に、バンドサークル入ったのに全く相手されず、いつの間にかそのサークルのライングループから追放されて名簿も消されてましたからね。僕が本当のぼっち・ざ・ろっくです。

話を戻して、『誰かの季節に』。Season of Somedayというアルバムの最後の楽曲です。

僕が初めてこのバンドを知ったのがこのアルバムで、偶然apple musicのおすすめ欄に出てきたので何となく聞いてみたらかなりハマりました。このアルバム、開始のdwellからラストまで全部いい曲です。humanでも同じこと思うけど、圧倒的に作曲能力が高い。humanが教会を彷彿とさせるなら、こっちは海、水中でしょうか。

どのみち言えるのは、笹川真生さんやColormalを紹介した時も全くおんなじことを言った記憶があるけど、一つのアルバムを作る際、外れ値となっている曲がなく、全ての曲がそのアルバムっぽさを体現しているということ。それだけ、作りたい曲のイメージがしっかり纏められてるのではないでしょうか。

本当に、美しい楽曲を作るんですよね。誰かの季節なんか、曲調も歌詞も歌い方を含めて、別れを描く良質な小説を眺めている様な、そんな気分になる。ほの悲しいのに美しい。個人的には、『透明みたいだ』も大好きです。

夜の魔法は1人じゃ使えないの ただそこにある呼吸を合わせるだけ 眠りにつけば私たちまるで透明みたいだ  誰にも見つからず


正直、最近見知ったバンドの中だとダントツで好きなバンドです。結局、あれから信仰心なんてものは一ミリも芽生えませんでしたが、このバンドには日の当たるところまで成功してほしいなと思います。間違いなく、ハマる人にとっては宗教のようにハマる。それだけの力は間違いなくある。才能の質量が別次元。知られなきゃ行けない存在、これです。まぁ、僕はまだ彼らのライブを見に行けてないので、まず見に行くところから始めるべきですが……。

とにかく聞いてみてください。では~。

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