イタリア(ミラノ)の現状を聞く
【LivingAnywhere ONLINE - Voice from Milano】と銘打って、イタリア・ミラノ在住の松村崇弘さん(2010年よりミラノ在住)からの現地からの生の情報を交え、イタリアのコロナウイルスの状況、いままでの経緯などをオンラインで聞いてみました。
随時参加者からの質問などもありながら進んだ今回の企画、今のイタリア・ミラノの現状を知りながら、これからの東京、これからの日本は何を予想して、何を備えておかなけばならないのか、ということを考えるきっかけになりました(以下の情報は4/9時点でのものになります)。
イタリア・コロナ危機の現状/ハイライト(4/9時点)
■ イタリアの人口約6000万人
■ コロナ死亡者:17669人
■ 陽性者合計139.422人(完治者26.461人含む)
■ 死亡者の60%はロンバルディア州
■ ロックダウンは4/13まで(暫定)
■ 個人的の消費カロリーは約1000kcal減/日
まずはイタリアの基本情報です。
人口は約6000万人で日本の約半分。武漢市のある湖北省(5850万人)と同じくらいで、日本に次ぐ「少子高齢化」の国です。
コロナウイルスの陽性者数(カッコ内は日本比):95.262(3.554)人
死亡者:17.669(81)人
完治者:26491(632)人
合計139.422(4257)人です。
死亡者の推移は3/3時点で79人から、1週間も経たない間に463人(3/9)、1ヶ月後には17.669人(4/9)と指数関数的に増えてしまいました。日別の死亡者数は97人(3/9)から3/27の969人をピークに昨日の時点で542人と少しずつ下降気味になっています。しかし、ニュースではトリアージが行われている医療現場や、何台もの軍事用トラックが棺を運ぶ姿など、悲惨な光景が伝えられています。
今回のコロナウィルスはイタリア全土に渡って感染していますが、数字的には北部に集中しています。まずは下図の右側、イタリア全土の地図をみてください。
死亡者の60%はロンバルディア州(赤)に集中しています。
人口は約1000万人で武漢市とほぼ同じです。そこから周りの4州(左からピエモンテ州、リグーリア州、エミリア・ロマーニャ州、ベネト州)を合わせると85%が北部に集中しています。また北部はイタリア経済の中心でもあり、ミラノ・トリノなど主要都市があります。
左側の地図はロンバルディア州の地図です。
中心はミラノ市のあるミラノ県ですが、最も被害が出ているのは近郊県で、高齢者が多く、感染率が1%を超える県も二つあります。ミラノ市内からは車で60-90分の距離です。イタリアで最初のコロナ患者もこのローディ県で、2/22にレッドゾーンとなり移動制限がされました。この時期にミラノ市内でも近隣のジムが閉まり始め、アマチュアのスポーツも翌週から中止となり、3/4に学校も休校となりました。
3/8にはロンバルディア州がロックダウンされ、数日前からミラノ中央駅には多くの人が南部へ向かいました。タクシーで10万円以上払ってローマまで行った人もいます。この状況を重くみた政府は翌日3/9にイタリア全土を封鎖しました。
このロックダウンにより、外出が認められるのは日用必需品(食糧、薬等)を買う場合や銀行・郵便局に行く場合、近所の散歩のみとなりました。無用で外出した場合は罰金が課せられます(上限60万円)。さらに外出時には、目的地の記載や陽性患者でないことを申告する「自己申請書」の持参が義務付けられています。さらに4月に入りマスクやマフラー等で口と鼻の部分を覆わなければいけません。しかし、流石のイタリア人は天気の良い週末に外出してしまい、ミラノだけで1万人が罰金対象となりました。この封鎖は4/13まで続く予定ですが、更に延びることが予定されています(現在の状況は後述)。
現在1ヶ月が過ぎ、多くの人がリモートワークを行なっています。飲食店はUberEatsなどのデリバリーでなんとか多少の売上を立てている所もあるようですが、カフェ等は大打撃です。大通りのお店も空きテナントに変わっている箇所が何店舗か見られました。経済的なダメージは計り知れません。個人的にも(村松さん)通常3000kcal/日以上の消費カロリーが2500kcalを下回り、非常にストレスを感じながら生活しています。テレビ電話などで友達や家族と話してはいますが、実際に顔と顔を合わせて人と会うことの大切さを実感しています。近い将来、多くの国が選択している「ロックダウン」が果たして最善の政策であったのか、多いに議論されるべきだと思っています。
(ミラノ在住/松村 崇弘)
(追記:4/17現在、死亡者22.170人、感染者計168.941人)
ロックダウンは5/3までの延長が決定しています。
正式には未発表ですが、学校の再開は9月と言われています(6月初旬に年度が終わるため)。給付金も個人事業主には600ユーロが支給されました。ここからさらに第二段階に移行し、どのようなステップで解放していくのかが焦点となりますので、また情報をシェアさせていただけたらと思います。
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