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Vol.22 chocolatierの魔法


bonjour! 金曜日配信のフランス滞在記をお届けします🇫🇷
今日は、フランス生活を支えてくれた甘くほろ苦いchocolatierのチョコレートのお話。

2019年11月某日。
「フランスといったらchocolatierでしょう!」とグルメで甘党な夫。

あぁ、なんかそういうドラマとか漫画あったよなぁと朧げな記憶をたどりつつ話を聞くと、どうやらフランスのchocolatier・チョコレート屋さんのチョコレートは美味しくて有名とのこと。

フランスといったらカフェ。フランスに住んだらカフェ巡りライフを満喫するんだと意気込んでいた私でしたが、そういえばフランスはお菓子でも有名だった。寒空の下、クリスマスの気配に包まれる街をてくてくと散策してみると、所々に小さな可愛らしいchocolatierがありました。


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グルノーブルではZUGMEYERというchocolatierが人気とのことで、フランスにきた初日から友人家族と一緒に行ってみました。

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ショーウィンドウ越しに中を覗いてみると、お皿の上に積まれたたくさんの可愛らしいチョコレートたちが艶々と輝いている。

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ドキドキしながら中に入り、ショーウィンドウの方を振り返ると、感じの良いご夫婦が仲良くチョコレートを選んでいた。絵になりますね。

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お店の中もかわいい。ショーケースの中にも色とりどりなチョコレートが並んでいて、まるで絵本のような世界。注文を待つ店員さんに遠慮がちに「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねると、ちょっと面倒くさそうにささっと後ろにさがってくれたので急いで一枚ぱちり。

チョコレートはとにかくたくさんあって、どれを買っていいのかわからないので、とりあえずお店セレクションの6個入りの小さなボックスを買って帰る。小さな宝石箱みたいだ。ZUGMEYERのチョコレートはあっという間になくなってしまって、(ほとんどこっそり夜中に私が食べたのですが 笑)写真におさめるのを忘れてしまいました・・でも、全身で感じるその甘くほろ苦い時間は、ここまでの旅の疲れを癒してくれたことに間違いはない。


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これは滞在先の近くの商店街の一角にあった小さなchocolatierのもの。
ラベンダー味とか、バルサミコス味とか、日本では専門店やデパートに行かないと買えないようなチョコレートが商店街の中で売っているという幸せ。

チョコレートはじめ、フランスのお菓子はすごく甘く濃厚で、口の中で「これぞお菓子です!」と主張してくる。
フランスにきたばかりの頃はその主張の強さに一口二口で「もういいです・・」となっていたけれど、不思議なことに(恐ろしいことに?笑)しばらく住んでいると食べられるようになってしまう。ふぅ半年の滞在で良かったわ、なんて油断すまい。これだけ毎日高カロリーを摂取しているのだ。重たい身体を引きずって毎日毎日、太陽が高い時間帯は娘と街中を練り歩き、結果的にグルノーブル生活を随分と満喫できてしまった。

きっと私たちはchocolatierの魔法にかかったに違いない。


買い物好きな夫と娘に誘われて、デザートを求めて近くの商店街のchocolatierに出かけたことが懐かしい。夕飯を済ませ、なんとなく口寂しくなると外へ出て、家族3人肩をすぼめ冷たくなる手をポケットに押し入れ、暗がりの教会を見上げながら石畳の商店街を歩いた。

毎日がカオスな日々。よくわからない混乱状態と美しすぎるフランスの景観とのはざまでよくわからないもがき方をしていた私のフランスライフでしたが、こういう何気ない、でも日本にはないような生活風景の中へ時折、心も身体も溶け込んでまどろみを覚える瞬間がありました。そんな時「今幸せで、もう二度と戻ってこない時間を過ごしているんだろうな」と雲のように儚く掴めないような感触が自分を通ってどこかへ消えていった。

フランスでの生活を回想するとき、大きなイベントの方がすぐに想起されやすいのだけれど、滞在記を書いていると、こういう日常生活の中の些細な、でも幸せな小さな小さなイベントを思い出す。忘れたくないなぁ。

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当時2歳だった娘もきっと忘れてしまうのだろう。

チョコレートの魔法も、ささやかな暮らしの中の新鮮さや、キラキラした出来事も。

でも、たとえ頭が忘れてしまったとしても、身体の感覚としてはずっと残って、きっと彼女のことをずっと支えてくれるはずだ。そう私は信じている。


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