Vol.30 異国の地で3歳のお誕生日を迎えるってどんな体験なのだろう?
bonjour!🇫🇷 金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。
今日はフランスで迎えた娘の3歳のお誕生日のお話。
夫のお誕生日をお祝いした2019年12月某日。
年が明けて2020年1月末日、今度は娘の3歳のお誕生日がやってきました。
太陽がものすごく眩しい日でした。夫の職場の上司にケーキの美味しいパティスリーを教えてもらって、ゆずのケーキを買いました。
奮発して、お肉屋さんでは、いつもよりちょっといいお肉を。
ワインと葡萄ジュースで乾杯です。
お誕生日おめでとう。
自分で選んだフランスのケーキは目が覚めるほど、とってもとっても甘かったね。
異国の地で3歳のお誕生日を迎えるって、一体どんな体験なのだろう。
2020年1月のあの時、自我がめばえる最初の音を、
しっかりと私は聞きました。
*
今思い返すと、イヤイヤ期炸裂の2・3歳児との異国での生活は、尋常じゃないほど過酷でした。どうやって生きていたんだろう、私(笑)。
当時の写真を見返すとだいたい顔が死んでますが、でもとても幸せそうです。
当時、お母さん3年生の私には育児に対するものすごく強い拘りがありました。それは、自我が芽生えるまでは、社会に順応させるよりも彼女から滲み出てくる形のない個性を味わう時間を持って欲しいということ。
ルールやシンボライズされたものに取り込まれることで失ってしまう、純粋で荒削りな時間の流れがたしかに彼女の中にはあって、それに触れる時間をできるだけ長くとってあげたいと願いました。
きっと、社会というものを意識した時に、それはあっという間に失われてしまう。という経験がきっと私の中にあるのでしょう。
妊娠中は働く気満々で(実際はつわりが酷すぎて全くダメでしたが)、一歳になったら仕事復帰するのが普通でしょう。と思っていたのに、いざその時になったら全くダメだった。おまけに一番しんどい時に、言葉も通じない異国の地で育児をするというスペシャルな(今思えば)イベントまで訪れて、なんのこっちゃ・・。
そんなこんなで気がついたらおうちで4歳までみっちり一緒。
自分でも驚いています。
一年前。
当時の私はこう思っていたのです。
娘本人がそれを幸せと思うかはどうかわからないけれど、おそらく私自身がそうやって育ちたかった、ということを無意識的にやってしまうのだろう。
それから一年。
熱いものが喉元を通ろうとしている今思うのは、
あれは、母はじめ周りの人たちがこうやって育てたいという願いでもあったのだろうなぁ。
ということ。
あんなに毎日しんどかったのに、いざ通り過ぎてみるとなんだか寂しい気もする。親って本当に勝手な生き物だ。
*
娘が3歳になりました。
わたしたちも、親になって3年。
いつも抱っこされながら世界を見ていた0歳。
養育者の手を振り払って自分の足で歩きたい、と叫んだ1歳。
「自分で!」「お手伝いしないで!」と「ママやって!」「パパやって!」の間で揺れながら、自我のめばえの音がした2歳。
それは想像していたキラキラした愛らしいものでなくて、ゴォゴォと唸るようななんだか激しいものだった。植物の種がパチンとはじけるように。はじめはか細く糸のようだった根が、太く立派に地中に根ざしていくように。
そして、揺れながら、彼女は自分の意思や気持ちを伝えるための言葉や絵や、踊りや、笑いという、たくさんのものを創造してきた。爆発的に。
烈火のようなこの人と付き合うのは中々大変で、わたし自身は「もう、はやく保育園に行ってくれ」と「社会性を身につける前の時間をもう少し家の中で...」という気持ちの間で揺れに揺れた。
2つの揺らぎを支えていた夫はさぞ大変だったと思います。
でも結局、わたしは、子どもの自我がめばえていく瞬間を、社会性というものと少し距離を置きながら見守りたかったのだと思います。
それは子どものため、というよりわたしの「こんな大人にそばにいてほしかったなぁ」をただ表現したに過ぎないけれど、今はそれで良かったのだなと思います。
同時に娘が2歳さんだった一年は、自分を表現することや、ユング の言うところの「個性化」について努めて学んだ年でした。
それを経て思うのは、自分と相手の個性化が響き合うポイント(というより流れ)がいつでもちゃんとあって、サポートというのはそこに存在するのだなということ。
さて、ここ最近の娘の口癖は「わたしがやってあげる」。「ママ!大丈夫だからね!」。
頼もしくなりました。
ケーキも、お花も、プレゼントも全部自分で選びました。
膝の上に乗っていた赤ちゃんが、隣に座って何かするようになり、その距離がどんどん離れ、今は向かい合わせに座っている。
人間の成長って、すごい。
わたしはわたしで、今度は背中も見てもらえるように頑張らないとです^^
(当時のFacebook投稿より)
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