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087. かぐや姫に出会えそうなクレルモン=フェランの漆黒の教会|オーベルニュ編
bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。
天候不良のため、残念ながら登頂することが叶わなかったヨーロッパ最大級の休火山帯、ピュイ・ド・ドームをあとにし、隣接する中心街Clermont-Ferrandへ向かうと大きな虹に迎えられた。次はいざ、この街のシンボル的存在、Notre-Dame de l’Assomption(被昇天聖母大聖堂)へ。そこはなんだかかぐや姫が出てきそうな場所だった。
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ミシュランの本社があり、「人間は考える葦である」の格言で有名な哲学者パスカルの出身地、Clermont-Ferrand。街の中心にある大きな漆黒の教会は独特の存在感を放ち、遠目から見てもここがなんだか特別な場所であることがわかる。フランスの中心に位置するオーベルニュ地方のそのまた中央に位置するClermont-Ferrand。わたしたちはフランスの真ん中の真ん中にやってきたのだ。
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長野県松本市出身のわたしは、この『真ん中の地域』にどうしても親近感を覚えてしまう。小さい頃から長野県は日本の中心で、さらにその長野県の中心の松本市という日本のおへそで君は生まれ育ったのだ(という偏った見方 笑)というアイデンティティを刷り込まれて育ったわたしは、どこの国へ行っても首都よりもその国の真ん中を探してしまう。
端っこも好きだ。わたしたちが滞在していたグルノーブル然り、思い出深い旅先になったストラスブール然り、国と国の境界であったり、それゆえに争いがあった土地の残す記憶には感慨深いものもある。けれど、真ん中はやっぱりいいものだ。
漆黒の教会の中に入ると、中はさらに真っ黒だった。暗がりステンドグラスがまるでネオンライトのように輝いていた。
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光が届く場所に行き着くと、この空間は幾つもの細い柱が天井出会って大きなアーチを描いているつくりであることがわかる。煤けたような色合いの柱が竹の様に見え、まるでかぐや姫が現れそうな雰囲気を醸し出している。
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この時は、2020年3月にちょうど入ったところだった。この月の末にはいよいよ日本へ帰国を控えていた。たくさんの思い出が詰まったフランス滞在も残すところあとわずかだ。
ふと、夫が静かに座りじっと天井を見つめていることに気がついた。彼はしばらく動かずにその場にいた。わたしより一足先に旅の余韻を振り返っているのだろうか、それともこの先のことを考えているのだろうか。
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【お知らせ:バカンスに入ります】
今号でフランス滞在記の中で一つの大きなクライマックスだったオーベルニュ編を終え、86話まで書き続けたフランス滞在記もいよいよ終わりが見えてきました。いつも、ときどき、読みにきてくださる方に支えられています。
生活の大きな節目を迎えようとしている2022年の今の自分ともシンクロするものを感じながら、8月いっぱいまでバカンスを取ります。次回は、9月2日(金曜日)にまた元気にお会いしましょう!
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