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155. フランス滞在記 (完)

Bonjour!🇫🇷 毎週金曜日に更新のフランス滞在記をお届けします。

いよいよ今号をもって、フランス滞在記(全155話)完結いたします。
この滞在記は、コロナ前後の2019年から2020年、フランスと日本を行き来しながら体験したことを、一つずつふり返り書き記したものです。

この滞在記の中には、当時3歳の子どもを育てながら、忙しい日々のなか、愛おしい瞬間を忘れたくないともがく「お母さんとしてのわたし」がいます。

2020年の春。
コロナ禍で、世界が大きく動いていく最中。
いま書き記しておかないと、激動の時代においても日常のなかにあった些細な幸せな瞬間がこぼれて消えていってしまいそうな気がしたのです。

体験はそのままに、温めておく方法だってあるのでは?
そう思ったこともありました。言葉はハサミのようなもので、体験の一部分を切り取ってしまうこともあります。どんなに頑張ってふり返っても正確には思い出せないし、どうしたって現在のわたしに脚色されてしまう。

でもね。
それでいい、と思ったのです。

今のわたしが思い出すこと。
それを大切に綴っていこう。

あなたは何をしていたの?
どんな人生を歩んでいたの?
この人生で何をやりとげようとしていたの?

その問いが、答えが、かけらとなって散らばっていたのだとしたら、〝書く〟ことで共に味わってあげられるのではないか。

その思い、一つずつふり返って書いてみると、過去に取り残された感情が一つまた一つと「今」に回収されていき、今の輪郭がはっきりとしていくのです。

もっと大袈裟なことを書くと、もしわたしにフランスに住んでいたという前世があったのだとしたら、時を超えて、その自分に対して問いかけ、答えてあげているような感覚を覚えることもありました。

書くってプリミティブだけど、本当にパワフルな行為だなと改めて実感しています。

さてさて。
最終号で、わたしがやってみたかったこと。
それは、全号を並べてスクロールしてみること。

Vol.1 ある日、フランスへいくことになって
Vol.2 上海トランジットで救世主あらわる
Vol.3 雪とジェントルマン
Vol.4 現実を溶かすような黄昏時
Vol.5 フランスの洗礼?着いた瞬間水浸し
Vol.6 good job!むすめ。フランスで鶴の一声ならぬ鶴の大絶叫。
Vol.7 ロゼのピンク色と澄み切った空の青色と
Vol.8 フランスのグルノーブルでUFOに乗る
Vol.9 懐かしい感覚は体が覚えている
Vol.10 UNKから本気で自由とは何かを考える@フランス

番外編: 暮らしを変えたバカンスの体験

Vol.11 クリスマス前のミュンヘンへ
Vol.12 コインランドリーまでの大冒険といざというときの母国語の力@ミュンヘン
Vol.13 憧れのミヒャエル・エンデを訪ねて
Vol.14 小さな小さなドアを開けた先には
Vol.15 ロサンゼルスへ行くときにはポータブルベビーシートを
Vol16. 会いたい人がいる海へ-San Diegoへ母娘トリップ
Vol.17 お家をお家にするために旅へ出る

Vol.18 フランスのマダムに諭されて自分の謝り癖に気がついた話
VOl.19 彼らがどうして主張するのか私は知らなかった|フランスでストライキを体験して
Vol.20 夫の誕生日にフランスですき焼き作りにトライ
Vol.21 周りに頼ることを学ぶために私はフランスへ飛んだのかもしれない
Vol.22 chocolatierの魔法

Vol.23 クリスマスの足音に誘われてMarché de Noelへお出かけ
Vol.24 日本からサンタさんがやって来た|友人を招き入れると生活の新鮮さを取り戻す
Vol.25 S君サンタさんと一緒にスイス・ジュネーブへ
Vol.26 虹のゲートをくぐってクリスマスのストラスブールへ
Vol.27 ストラスブール大聖堂の天文時計
Vol.28 フェーブを当てたのは?
Vol.29 バレンタインに生まれて初めて真っ赤な薔薇の花束をもらった
Vol.30 異国の地で3歳のお誕生日を迎えるってどんな体験なのだろう?
Vol.31 デュッセルドルフの一杯のラーメンが日本人としてのアイデンティティを回復させた
Vol.32 スポーツショップDECATHLONと手料理する友人の姿から気がついたこの気持ちはなんだろう。
Vol.33 母親になって忘れていたけど人って頭で思うよりもっともっと遠くへ行ける生き物だ。

Vol.34 お誕生日プレゼントはマクロン大統領からのロックダウン宣言と、そして・・
Vol.35 消えていく記憶の中で必死にカメラを回していた
Vol.36 思い出はどうしたって綺麗になりすぎる
Vol.37 書きたいことがないときは、書きたいことがないってことを書いたらいいじゃない。
Vol.38 日曜日は家族で美術館へ行く日だった
Vol.39 娘に女を感じる瞬間がある
Vol.40 亡き彼をヘルシンキの風に感じる。
Vol.41 「ウィルスもってる?」とフランスのお肉屋さんで紳士に聞かれたあの日|一即多・多即一
Vol.42 子どもの純真さは親の被害者意識を打ち破る
043. ちょっとした不便さがコミュニケーションを生む。

044. リビング・アトリエがはじまる

045. 夕方のミシンカフェで絵を描くのが好きだった。
046. フランスで茨城のクラフトビールを発見!
047. 虹が見えるとあの頃の自分にがんばったねと声をかけたくなる。
048. 革命の地、ヴィジーユの自由の女神はいま何を思うのだろう?
049. フランス革命博物館で鳥を人間にする魔法をかける
050. 傷だらけの鏡を彼女は綺麗だねと言った@フランス革命博物館

051. 滞在記を書くのは過去への忘れものを拾いに行くため。
052. 他国で叶ったアルプスの山々に包まれて暮らしたいという願い
053. またフランスに飛べる日が来たらわたしはマルシェできのこを買って料理をするのだろう
054. 写真散歩|アルプスのヴェネツィア、アヌシーをめぐる
055. 白銀の世界の太陽と越えられなかったイタリア国境
056. ボルシチを煮込みながら海外生活を考察する
057. 世界一温かい「you have to!」
058. 写真散歩|グルノーブル・アルプ大学
059. 写真散歩|バスティーユへピクニック
060. 写真散歩|朝靄に包まれた神話の世界へ
061. トラムの駅の果てと果て

062. 新しい色と古い色が交差するプロヴァンスの空
063. 新婚旅行で買った絵画が再びフランスへ連れて行ってくれた
064. 写真散歩|南仏の田舎町・マザンを歩く
065. コロナ禍でも捨てられなかったゲーテの本
066. 2021年もフランス滞在記を読みに来てくださりありがとうございました。
067. 色鉛筆は小さくなる。あなたは大きくなる。
068. おひとりさま式ラクレットチーズ
069. 戻れないあの景色|写真散歩
070. 静寂と現実の往来|写真散歩
071. 石造りの街で父娘の背中を追いかける|写真散歩

072. ふと思い出す、コロナ禍の子どものつぶやき

O73. 心のシャッターを切った瞬間は写真に残らない
074. コインランドリーではお母さん、一時休業

075. ザクロはオーベルニュへの伏線
076. 古い地母神信仰の残る奇石の街、ル・ピュイ=アン=ブレでほほえむ赤マリア|オーベルニュ編
077. 奥の院の黒マリア|オーベルニュ編
078. カントルーブを聴きながらオーベルニュの大地を走る|オーベルニュ編
079. ガーディアンルームからの警告|オーベルニュ編
080. 開かなかった扉事件|オーベルニュ編
081. 外で調和するヨーロッパ、内で調和する日本|オーベルニュ編
082. 時間の記憶が消えても、色彩の記憶はあせずに残り続ける|オーベルニュ編
083. 2年越しで気づく、夫からの愛情|オーベルニュ編
084. 孤独の芯にあるのは温かさ|オーベルニュ編
085. そうだ、ブーケガルニ作ろう
086.雨のピュイ・ド・ドーム、虹がかかったクレルモンフェラン|オーベルニュ編
087. かぐや姫に出会えそうなクレルモン=フェランの漆黒の教会|オーベルニュ編

088. しがみつかれていたと思っていたのに、実は抱きしめられていた。
089. 「うすい」「やわらかい」という日本人の個性
090.フランスで手巻き寿司は作れるのか?
091.雪山ドライブ
092.気になるドレス
093. ここは・・ホーンテッドマンション?グルノーブル考古学博物館
094. グルノーブル考古学博物館|写真散歩

095. ご近所のフランス人マダムがアーモンドケーキを焼いてくれた
096. 笑顔だけ持って、マダムにクレープを教わりに行く

097. 雪遊びデビューはフランスでした。
098.レシピは3人の修道士のみぞ知る。秘伝の薬酒、シャルトリューズ
099. 豆を炊きながら、あの時、わたしは不安で不安で仕方がなかった。
100.太陽を求めて、はしご芝生

101.滞在記を書くことはトラウマを癒す

102. スーツケースの予兆と帰国の決意
103.わたしの一欠片は誰かの中で生きて。
104.さようなら、わたしのグルノーブル|ロックダウンされた街を歩く
105. フォーチュンロシアンルーレット。今年の王様はだれ?
106. 忘れ去られたチーズ
107.どうしよう、どうしよう、どうしよう。
108.ここは腐海の森?|パリ・シャルル・ド・ゴール空港へ
109. 私が忘れかけていた娘の顔
110.帰りの機内でアナ雪2をみて号泣した件について
111.コロナ禍の成田空港へ帰ってきて

112.お米を食べながら泣いたあの日|Stay Home編①
113. 起き上がれない|Stay Home編②
114. お誕生日プレゼントは、むすめの卒園証書だった
115. どうしてわたしはこんなに物に囲まれているんだろう!|Stay Home編③
116. 引っ越しは感情の戸締り
117. 「助けて」って言えたあの時の自分を褒めてあげたい|Stay Home編④
118.おじいちゃん、おばあちゃんが怖い|Stay Home編⑤
119.だって、母は看護師だから|Stay Home編⑥
120.非常時はその人らしさが如実に現れる|Stay Home編⑦

121. フランス人マダムに教わるランチ時間の大切さ

122. 記憶の凸凹を抱きしめる
123. なぜ海外に「かぶれる」のか?|Stay Home編⑧
124. 自分にカフェオレをいれてあげた朝|Stay Home編⑨
125. 3歳児からコロナウィルスはどう見えていたのか?|Stay Home編⑩
126. コロナ禍に娘が作ったミュージカルStay Home編11
127. 3年ぶりに開いたノートパソコンStay Home編12
128. 秘境はすぐ近くにあるStay Home編13
129. 自分でできることが多い時、ついつい忘れてしまうことStay Home編14

130. フランス人マダムへのはなむけに、日本画で筑波山を
131. フランス人へ夫婦箸をプレゼントするのは難しい?
132.マダムはいつだって、目を見て話を聞いてくれた。

133. バカンスに入ります。

134. 太陽の下で描きたいという衝動
135. あの時からわたしは二十四節気を生きはじめた
136. インターネットに繋がれないから土と繋がった
137. 引っ越したい夫、残りたい妻
138. 今日は今日の風が吹く。
139. 家事ホリックという病の救い手は?
140. 栗の渋皮煮にフランス人マダムを思う。
141. お庭でBBQ
142. 熱が出たときは

143. 「なんでわたしが!?」は移行のサイン

144. ゴミと一緒に引っ越すなんてごめんだ!
145. すてっこしのススメ
146. ちゃんと出会って、ちゃんと別れる
147. ゆずると押しつけるの違いって何だろう?
148. 自分にとってはゴミでも、他の人にとってはギフトかもしれない
149. すてる痛みを忘れないで
150. 引っ越しをしたら荷解きする前にやるべきこと
151. 整えて、去っていく

152. わたしが滞在記を書く理由
153. 忘れたくない、と娘は泣いた。
154. 逆風が追い風に変わった瞬間
155. フランス滞在記 (完)

書いたなぁ…。
どの瞬間も愛おしいです。

わたしは興味があちこちに飛ぶので、こうして時間や頻度を決めて、一つのテーマに視点を定めて時間をかけて取り組むということは大の苦手でした。

だから、これはわたしにとって、自分の記憶に挑む実験でであるとともに、とっても大きなチャレンジでした。

だけど、時がたって2024年2月2日。
今、その実験をやり終えて、一つのテーマを書き続けることがわたしは出来ます、となんの抵抗もなく言える自分がここにいることをとても喜ばしく思います。

どの瞬間のわたしも、わたしでいてくれてありがとう。
そんな感謝の気持ちが芽生えています。

来週の金曜日は、「うわーフランス滞在記、書かなきゃ・・」がないと思うとちょっぴり寂しいですが、一つに固定した視点や習慣がパッと解かれると新しいアイデアがまた出てくると思うので、その時間を楽しみたいと思います。

また、ここまで書けたのはnoteという場のおかげです。

きっと日記を書くだけでは、こんなに書けなかったでしょう。
読んでくれる人がいることに支えられていました。
読んでくれる人がいるって、なんて幸せなことなのだろうしみじみ感じます。noteという場と、ここまで読んでくださった皆様に、心からの感謝いたします。

Merci beaucoup!🇫🇷

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