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Vol.14 小さな小さなドアを開けた先には
フランス滞在記。
自分で思っていたより、ミュンヘンでの思い出が特別だったのか、なかなかドイツ国内から出られません(フランス滞在記なのに笑)。
フランスから足を伸ばしてミュンヘンへ来た私たち。ふと、ここは憧れの存在ミヒャエル・エンデにゆかりがある場所ではと思い立ち、ミュンヘンの郊外のお城の中にミヒャエル・エンデの博物館を見つけました。
今日は、その同じお城の敷地内にあった小さな絵本ギャラリーのお話。
ミヒャエル・エンデ博物館を堪能して帰ろうとすると、スタッフの方が同じ敷地内にかわいらしいギャラリーがあるからぜひ行ってみてね、と声をかけてくださいました。
踊り場のミヒャエル・エンデについての展示パネルを見ながら、くるくると螺旋階段を降りてゆく。
多言語に訳され、世界中で愛されるモモ。
さようならエンデ。
また必ず来ます。
外へ出て、お向かいのオレンジ色の屋根の建物を目指す。
こちらも螺旋階段になっていて、壁にはたくさんの絵本原画作品が展示されていましたが、途中娘のおむつ替えのためにトイレを探したり、ベビーカー置き場を探したりであまりゆっくりは観れず。でも雰囲気だけでも楽しめました。
最上階に辿り着き、中には木のぬくもりを感じる温かい空間が広がり、たくさんの絵本作品が並んでいました。
写真を撮ることも忘れてゆっくりと楽しみました。
他にも一組お年を召したご夫婦がいらしていて、ご婦人が「ねぇねぇ」と手招きをしていた。彼女が指差す方向を見てみる。写真は撮らなかったけれど、タンスの猫足の部分をよくみると先がツンと尖ったブーツを履いていた。
子供目線にならないと見つけられないような、愛らしいデザインに思わず胸がキュンとなる。
さらにご婦人は、あっちあっち、と本棚の下にひっそりと佇むドアを指差す。
そこには小さな子供しか入れないような、小さな小さなドアがあった。
そのドアを開けてみると・・
中にはファンタジーの世界。
小さなオルゴールの音ともに、小さな小さな人間劇が始まったのです。
ファ、ファンタジーエン!可愛すぎて、私、悶絶。
いいなぁ、こんなところで住んでみたい。
そして、いつか、ここで小さな個展をしたい、と密かに夢を描く私でした。
名残惜しくも日が暮れてきたのでギャラリーを後にすると、先ほど行ったミヒャエル・エンデ博物館の建物の一階の電気が灯っていた。
ここは、国際青少年図書館。各国の子供の本や絵本がならび、子供のためのセミナーなどが開かれているようです。
エンデが日本と親交があったためか、日本の本もたくさん並んでいました。
入り口のカウンターには、本を借りる親子がいて、奥のスペースのお話の部屋にはお母さんが小さな男の子に絵本を読んであげていた。
建物の中では小さな小さなクリスマスマルシェの準備が行われており、外にはツリーが夕日を背負ってすくっと立っていた。
なんていい時間。
図書館と美術館とギャラリーとカフェがあって、ここは私にとっては夢のような場所だ。子供と大人が一緒に楽しむことのできるここでの穏やかな時間は、異国の地で張り詰めてピリピリとしていた私の心を優しく解いてくれた。
またいつか帰ってきたいなぁと思った。今度は自分の作品を持って。
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