128. 秘境はすぐ近くにある|Stay Home編《13》
bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。Stay Home編ではコロナ禍のフランスから帰国し、自主的に14日間の自宅待機中に感じたことを綴っています。今号は、自宅待機期間中の密かなたのしみ、秘境発掘について。
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2020年4月1日。Stay Home13日目。
とても長く感じる自宅待機の2週間だったけれど、実は密かな楽しみがあった。それは身の回りの秘境発掘。この日はご近所にある神社に、家族三人で桜を観に出かけた。
いつもいく、スーパーマーケットの近くにある誰もいない神社にひっそりと、でも豪華絢爛に咲き誇っている桜の木。先日、娘とドライブした帰り道に見つけてすごく綺麗で「パパにもみせたいね!」と言っていた桜の木。
この日はシトシトと小雨が降っていて、散ってしまったかなと心配していたけれどもってくれて良かった。花弁の中につるんとした雨粒をたたえた桜の花は一層美しく見える。
ここは、夏には青々と草木が生い茂り、秋にはイチョウの黄色と椿の濃ゆいピンク色でいっぱいになる。とても小さな神社だけれど、ここの自然の色たちは、植物が芽吹きに負けず劣らず、パワフルに成長を遂げる娘との日々に心底疲れ果て、白旗をあげていた私にとって最高の癒しスポットだった。
そうだ、あの時も、パパに見せたいねって言っていたね。
でも、タイミングを逃したまま、四季は巡って行ったけれど、今はここにパパがいる。そう思うとなんとも感慨深い。
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2020年4月2日。Stay Home14日目・最終日。
いよいよ2週間の自宅待機最終日。今日も桜を愛でに出かけたいところがあって、3人で出かける。ここにも他に誰もいなくて、鳥のさえずりが響いてくる。人がいないと自然の話し声がいっぱい聞こえる。
あれ?
桜を観ながら気がついた。
近所にある、人気がないわたしだけの秘境を見つける。
これって、いつもわたしがやっていることじゃないか・・。
そうなんです。
わたしはフランスに行っても、自宅待機になっても気がついたら同じようなことをやっているのでした。つまり行動パターンがずっと一緒。(下手すると小学生くらいから変わっていないのかもしれない・・)。
元々、子ども関係の集まりにも、保育園や支援センターの集まりにも積極的ではなく、買い物も苦手。だからいつもフラフラと人気がなく自然のある場所をマイペースに徘徊しては悦に浸るというのが母親としての行動パターン。それが娘にとって良いことだったかはわかりませんが、子育てを通して、誰もいない素敵な場所、つまり「秘境」を見つけるスキルに磨きがかかっていったような気がします(笑)。
この2週間はまるで内観療法のような、身調べのような日々でした。人にひたすらサポートしてもらいながら、内側へ問いかけ、本当に自分が大切にしたいものを見つける。そんな時間でした。
渦中にいた時は、あまりにも窮屈で自由のない時間だったけれども、今思い起こすと、なんとも贅沢な時間だったなと、支えられていたんだなと、遅ればせながらさまざまな人や物事に対して感謝の気持ちが湧いてきています。
本当に大切なことも、わたしだけの秘境も、気が付かないくらいに本当に近くにあるのだろうなと思います。