110.帰りの機内でアナ雪2をみて号泣した件について
bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。バタバタとグルノーブルからリヨン空港へレンタカーを飛ばし、トランジットのために訪れたパリ・シャルルド・ゴール空港でドキドキしながら日本行きの飛行機を待っていたわたし達。やっと機内に乗り込むと、安心して気が抜けてしまい・・・。
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2020年3月19日。
イカつい防塵マスクをした人とすれ違うたびに「ここは腐海の森か!?」と怯えたパリ・シャルル・ド・ゴール空港。早く来い早く来いと日本行きの飛行機を待ち、満を持して機内に乗り込んだわたし。初めはコロナ渦、密室ということで心臓がバクバクしていたものの、優しく笑顔でドリンクや飲み物をサーブしてくれるCAさん達の姿にほろほろと緊張した心が解けていく(いやぁ、こういう状況で笑顔で相手をリラックスさせられるCAさんって本当にすごいなぁ・・)。
ここまで日々、陸の交通網は閉ざされ、飛行機の便も減っていき、もしかしたら帰国できないかもしれないという緊迫した状況下で気分が張り詰めっぱなしだったので、「これで飛行機が落っこちなければ無事帰国」だと思うと、すっかり気が抜けてしまった。せっかくだからと夫と機内サービスのワインをいただいて乾杯すると、頭がボワンボワンとしてくる。いつもこんな量で酔っ払ったりしないのに・・。
おもむろにリモコンをとり、残りのワインを飲みながら映画でも観ようかと思うと、隣の席ではすでに真剣な表情で娘が「アナと雪の女王2」を観ている。へぇ、2が出たんだ。1が出た頃、「映像が綺麗だ」とか「これぞ現代の女性の声を代表している!」とか周りの評価が良かったので映画館で観てみたものの、映像はたしかに美しいのだけれどストーリーがシンプルすぎて個人的にあまり響くところがなかった。でも「2は1とはテイストが違って大人向けで楽しいらしいよ」という風の噂を思い出して、ちょっくら観てみようかとほろ酔い気分で視聴開始。
最初はふむふむ、と観ていたのだが途中からきづくと大号泣していた。しかしウトウトしながら観ていたのでストーリーはまったく覚えてなくて、「この辺りまでなら覚えてるかしら…」という場面まで巻き戻すも、またしても大号泣していて、まったくストーリーは思い出せず、ということを何度かくり返す。完全に病的である。わたしはこの物語のどこに感情を揺さぶられていたのだろう?
結局、まったくストーリーはわからないまま、寝てしまい、おぼろげな記憶の中でCAさんがわたしの手からそっとワイングラスをとって、ヘッドフォンをはずし、ブランケットをかけてくれたのを思い出す。ううむ。これは完全に参っていた。
(CAさん、ご面倒おかけしました…)。
後日、家族三人でアナと雪の女王2をレンタルして鑑賞会をしたのだが、そこであらためて「あ、こういう話だったんだ…」となった始末。なんでも、アナと雪の女王はピクサーで初女性が監督を務めた作品とかで、アメリカが先住民に対して行ったことを描かねばという強い思いが監督にあったと何かの記事で読んで、なんとなくどのあたりが自分に響いたのか想像がついた。
この場面とか。
水の精霊ノックを戦いの末、手懐け(これは激しすぎる感情の力を律するというメタファーかな)、アートハランという全ての記憶が眠る場所にたどり着いた時。母親の記憶に触れ、彼女に認められ、最後にはすべての記憶を自らの手で消し去っていくエルサ。ぐっときますね。映像も美しい。
娘も大好きな場面なのだけど、きっと将来、母に預けていた記憶、投影していた力を自らの意思で取り戻す日がやってくるのでしょう。もしかしたらそのヒントがフランスに、フランスで過ごした記憶の中にあるのかな。
さぁ、日本に戻りますよ。