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大学生のときに聴いた洋楽③:1980年

 いよいよ1980年代の幕開けなのですが、この年は、いきなりポール・マッカートニーの逮捕から始まり、ジョン・レノンの死去というとんでもないニュースで終わるという、なかなか衝撃的な年だったわけです。あの12月の寒い日、大学から実験か実習を終えて帰ってきて、ラジオをつけたら、妙にアナウンサーが湿っぽい話をしていて、一体何が起きたのかと思って耳を傾けて、その内容に絶句したことをよく覚えてます。

1980年(昭和55年)の出来事

  • 1月 ポール・マッカートニー大麻の不法所持で成田空港税関で逮捕

  • 3月 山口百恵が三浦友和との婚約を発表

  • 5月 大平内閣不信任案が想定外の可決(ハプニング解散)。ところが6月に大平首相が急逝し、直後の衆参同日選挙で自民党が大勝

  • 7月 モスクワオリンピック開催 日本をはじめ世界67か国が参加をボイコット

  • 8月 新宿駅西口バスターミナルで男がバスに放火、死傷者20人の大惨事

  • 10月 王貞治が現役最後となる通算868号ホームラン

  • 11月 米ロナルド・レーガンが現職ジミー・カーターを破りアメリカ大統領に

  • 12月 ジョン・レノンがニューヨークの自宅前で射殺される


 洋楽の世界ですが、78年、79年と続いたディスコミュージックブームが、少し沈静化したように見えますね。当時は全く知らなかったのですが、この年アメリカでディスコのレコードを野球場で爆破するという、反ディスコイベントなるものが催されたそうで、まあいつの時代もブームが加熱すると、一方でこういうことをやらかす奴が出てきたりするというわけですね。そんな影響もちょっとはあったのでしょうか?

1980年の洋楽ヒットソング

I'm In The Mood For Dancing(邦題:ダンシング・シスター) / The Nolands

これはまんま前年からのディスコブームの中の曲ですね。日本でもかなり流行りました。わたしはずーっとアメリカ人グループだと思っていたのですが、彼女らはアイルランド出身なんですねえ。

Funkytown / Lipps Inc.

ダンスには詳しくないのですが、ロボットというダンスがはやったのは、この曲あたりからなんでしょうか。ただ、79年のPop Muzikと同じく、それまでのディスコビートにテクノポップが加わって少し進化した感じがありますね。これがニューウェーブの一部でもあったのかなぁ…。

Gimme! Gimme! Gimme! / ABBA

一方アバは、ディスコブーム真っ只中ですね(笑)もちろん、さすがのアバクオリティ。凡百のブームに乗った楽曲とは一線を画す仕上がりで、後にマドンナやシェールにもカバーされた名曲なんですよね。

Another Brick In The Wall, Part 2 / Pink Floyd

この年一番の驚きは、まさかのピンク・フロイドの全米No.1ヒットなんですよね。79年11月にリリースしたアルバム The Wall からのシングルカットなのですが、アルバムも全米で大ヒット、さらにこの曲はBillboardで4週連続1位を獲得し、ピンク・フロイド唯一の全米No.1ソングとなるわけです。まあこの曲もディスコビートを取り入れてると言われてるようですが、それにしてもこんな暗い(失礼w)曲がなんでヒットしたのか、未だによくわからないのですよね(笑)

Crazy Little Thing Called Love(邦題:愛という名の欲望) / Queen

またまたクイーンのまるで方向性の違うヒット曲。この曲はクイーンの全米No.1ソングなんですが、当時「なんで今さらエルビス…」という感じで全然好きになれなかった曲でして、相変わらずわたしの中でのクイーンのステータスは上がっていないのです。すいません、すいません。

Rock with You / Michael Jackson

79年にリリースしたOff The Wall というアルバムで、一躍ソロミュージシャンとしてのアイデンティティを確立したマイケル・ジャクソンですが、この曲はそのアルバムからのシングルカットです。ジャクソン5のことは多少知ってた程度でして、あの子がこんなに大きくなったんだ…みたいな見方しかしてなかったです、当時。すいませんw

Upside Down / Diana Ross

ディスコというかファンクというか、いずれにしてもそれまでのダイアナ・ロスの雰囲気とはちょっと違ったチャレンジングな曲だったのでしょうね。ただ、これも彼女の18曲(スプリームス時代も含む)ものビルボードNo.1ソングのひとつなのですね。

Xanadu / Olivia Newton-John

78年公開のグリースでジョン・トラボルタと共演して、さらにこの年映画ザナドゥに主演。映画はあまりヒットしなかったようですが、このテーマソングともう一曲 Magic が映画発のヒット曲となりました。ちなみに、Xanadu は、ELOのジェフ・リンの曲でして、本当は彼のバージョンの方が渋くて圧倒的に好きなんですけどね。ちなみに、わたしの友人に「イルカのなごり雪は、作曲者伊勢正三の歌のほうが遥かに良い」と主張する男がいるのですが、まあそれと同じですね(笑)

Call Me / Blondie

78年、ディスコビート Heart Of Glass の大ヒットで一躍人気シンガーとなったブロンディですが、彼女はなかなかいろんな音楽性をもったミュージシャンで、もうディスコビート一辺倒ではなかったのですね。

Do That to Me One More Time(邦題:愛の証し) / Captain & Tennille

75年の大ヒット以来、久しぶりのキャプテン&テニールですが、ディスコブームのアバと違って、こちらのご夫婦は大人のポップス路線を行ってますよね。

Escape (The Piña Colada Song) / Rupert Holmes

この人も一発屋の部類ではあるのですが、この曲はかなり売れました。先のキャプテン&テニールもそうですが、ものすごかったディスコブームも少し落ち着いて、やっぱりこういう大人のポップスというかAORっぽい路線も改めて売れるようになってきたと言うことなのだと思います。

Coming Up / Paul McCartney

ポール・マッカートニーも、成田で逮捕されながらも(笑)、相変わらずヒットを出しているのですが、正直この頃からヒットの規模が以前よりだいぶ小さくなってきてるように感じてます。そしてわたしもだんだんとこの頃からポールのヒット曲を耳にしても、アルバムを聴かなくなっていくのでした。

It's Still Rock and Roll to Me(邦題:ロックン・ロールが最高さ) / Billy Joel

ディスコブームをものともせず、我が道を行くビリー・ジョエル。今度はロックンロールです。

Lost in Love / Air Supply

ニューウェーブとかではなく、80年代のはやりのポップスというのがこの人達のイメージですね。彼らはオーストラリア出身のミュージシャンでした。

Babe / Styx

この人達は1972年デビューで、もともとアメリカンプログレという感じのバンドで、けっこうな長尺曲を演奏するような人たちだったのですがだんだん方向性を変え、この年、こういう甘いポップソングが大ヒット。この曲だけ聞くと、もう80年代AORといってもいいような感じなんですけどね。

Cars / Gary Numan

これはモロに80年代風のサウンドですよね。はやくもこういう曲がヒットして、80年代に突入していったということなのですね。ちなみにこの動画に出てくるシンセサイザーは、MoogのPolymoogという、アナログシンセながら和音が出せるというシンセサイザーですね(YMOも使ってます)。この80年代風のサウンドというのは、和音が出せるシンセサイザーがこの頃から一般的になったということがけっこう関係しているような気がします。

 邦楽の世界では、この年のシングル売上ベスト10のほとんどが、ロック、ニューミュージック系で占められるという、今までとは雰囲気が変わった年だったのではないかと思います。1位:ダンシング・オールナイト(もんた&ブラザーズ)、2位:異邦人(久保田早紀)、3位:大都会(クリスタルキング)、4位:ランナウェイ(シャネルズ)、5位:順子(長渕剛)、6位:贈る言葉(海援隊)と、こんな感じです。その後7位と8位に五木ひろしとロス・インディオス&シルヴィアが挟まって、9位にさよなら(オフコース)なんです。10位はアイドルの田原敏彦ということで、ベスト10見ただけでも、それまでとかなり様相が異なってる感じがしますね。それ以下も、ばんばひろふみ、谷村新司、さだまさし、八神純子、財津和夫、渡辺真知子、山下達郎、竹内まりや、松山千春、甲斐バンド、サザンオールスターズなんかがチャートを賑わしていて、やっぱり80年代に入ったのだなという印象ですね。

 また、この頃から、映画やCMソングとして起用された洋楽が日本でだけヒットするという傾向もでてきましたね。映画「復活の日」のテーマソング、とかブランデーのCMソングとか。そういうわけで、企画ものに洋楽が使われることにあんまり抵抗がなくなっていった(というか、そういう企画で洋楽が国内で当たるようになってきた)という事なんだと思うのです。


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