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改めて考える「ダリア園」の必要性
2024年10月、久しぶりに開催された日本ダリア会の現地見学会に参加させていただきました。
前回参加させていただいたのが2018年の10月だったので、6年ぶり。当時は農業経験0にも関わらず地域おこし協力隊として、埼玉県秩父郡小鹿野町にある「両神山麓花の郷ダリア園」の支援をするために飛び込んで1年目。現地見学会に参加してもどこを見ていいのかも分からず、参加者の方の話からどんなところに注目しているのかを教えてもらう感じでした。
今回は自分でもダリア栽培を始めて6年目。ダリアについては一通り経験したので、現地見学会が非常に有意義な時間となりました。そのなかでも特に衝撃的だったのは、切り花生産者の生の声でした。
「決められたスペースの中で売上をいくら生み出せるか」
無施肥無農薬でダリアを栽培している私にとっては、桁の違う異次元の会話(笑)
持続し、生活していくためには当たり前ですが、近くにはダリアの切り花生産者がいないのでとても新鮮でした。高い売上を作るには「高単価・人気・高回転」品種はどうしても厳選され、その切り花を仕入れるお花屋さんに並ぶのも厳選された品種のみとなります。
ダリア園に来園されるお客様からは「ダリアがこんなに沢山の種類があるなんて知らなかった〜。」というコメントを良くいただきます。ダリアとの最初の接点がダリア園だった私には「えっ?知らないの?」となりますが、ダリアの接点がお花屋さんだったりすると、知らなくて当然かと納得。花の大小や咲き方がこんなにも沢山あるのに、商売というフィルターを通すとダリアの種類は激減します。
そう考えると、「ダリア」という花を見せる・紹介する場として、ダリア園は欠かせない存在になります。
面積はそれぞれの場所で限られますが、どこも数十〜数百種類のダリアが植えられていて、一度にたくさんのダリアを楽しむことができます。
2024年のことですが、町田のダリア園に園内のガイドツアーを聞きに行った際、偶然三重県のKIMOTOダリア園の方と出会いました。(ガイドツアー後に町田ダリア園の方に紹介していただきました)以前からインスタグラムではフォローしていましたが、せっかくの御縁だからとKIMOTOダリア園に行きました。そこで「ラブストーリー」という品種に再会!「ラブストーリー」は過去に町田ダリア園で購入したのですが、絶えちゃったんですよね。数年ぶりの再会に心躍りました。
暑さもあり開花が遅れているようでしたが、防草シートが通路全てに引いてあり歩きやすく、高台があって全体を見渡せたり、近くの山を背景にした写真を撮ったりと楽しめました。
このKIMOTOダリア園、入園料・駐車料金はなんと無料。
「株式会社きもと」の地域貢献ということで遊休農地をお借りしてダリア園にしたとのことですが、隣の工場で働く方々の労働力によって支えられている状況のようです。伺ったときも駐車場係が2人稼働。9〜10ヶ月くらい何らかの作業があるわけですから、人件費コストもそれなりに掛かっているはずです。ダリアの球根やお米の販売はされていますが、入園料とまでは行かなくても募金箱の設置などで資金を確保し、長く続けていただけるようお伝えしました。長く続けばその場所がフックとなって、他の観光スポットとや飲食店との連携、キッチンカーやマーケット開催等の可能性も出てきます。
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KIMOTOダリア園を楽しんだあとは、その足で長野県の大岡ひなたダリア園に直行しました。
こちらのダリア園は標高が800m越えと高く、ダリアにとって過ごしやすい涼しい環境でした。なのでこちらは見頃を迎えていて、園主さんが脇芽摘みが間に合わないというほど盛り盛りのダリアが!「わぁ〜」「イイ」をただただ連発しながら、ダリアに見とれていた至福のひとときでしたね。
品種数もとても多かったです。特にアネモネ咲きのダリア「きさら金魚」はまるで空中にクラゲが泳いでいるように見えて面白い。
こんなに管状花がもこもこな感じの品種もあるんですね。
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最後は園主さんご夫婦と、北アルプスに沈む夕日を背景にした撮影会。
日没まで楽しませていただきました。
車でのアクセスは途中道幅が狭いこともあり最初はドキドキしますが、「アルプスをバックにした、ここでしか見られない絶景」が楽しめました。
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そういえば大岡ひなたダリア園さんとの最初の接点は、2023年インスタグラムの「町田ダリア園に球根を買いに行ってきました」の投稿に、「すれ違っていたかも」とコメントしたことでした。
振り返ればKIMOTOダリア園も、大岡ひなたダリア園も、町田ダリア園きっかけでご縁が生まれたんですよね。ありがたや〜。
「両神山麓花の郷ダリア園」には、宮渕ダリア園の宮渕さん、もてぎの森ダリア園の長谷川さん、矢作園芸ダリア園の矢作さんが視察に来てくださり、ダリア園を通して色々な方と交流できた2024年でした。
町田ダリア園でもうひとつ、助けられたこともありました。コロナ禍で開園が危ぶまれたとき、町田ダリア園が先に開園してくれたおかげで必要な対策を準備でき、埼玉県のコロナ担当課にも「大丈夫」という言質を取れて「両神山麓花の郷ダリア園」の開園を後押しできました。日本ダリア会で交流があったからこそ、起こせたアクションでもあります。
新たなダリアとの出会い、絶えてしまったダリアとの再会(品種の保存)、園地周辺を借景にした楽しみ方の発見、ダリアを通した人との交流の場、ダリアの切り花や鉢植えや球根を買うための拠点、ダリア栽培相談の場、育種者には新作ダリア発表の場、自治体の観光の1ピース・・・。
ダリア園には多くの役割があると、各園地を巡り改めて実感しました。
過去にも視察で「世羅高原農場」「とっとり花回廊」「宝塚ダリア園」「黒川ダリア園」「日野ダリア園」「なばなの里」「黒姫高原ダリア園(現在は黒姫グリーンガーデン)」「塙町ダリア園」「川西ダリヤ園」「秋田国際ダリア園」「矢作園芸ダリア園」「上野東照宮ぼたん苑」「蓼科高原バラクライングリッシュガーデン」とあちこち回らせていただきましたが、株の仕立て方や見せ方、レイアウト、栽培品種、育種株の割合、切り花の提供方法等、各ダリア園で異なっていて、各地にダリア園があることでダリアの魅力を多角的にお客様に届けられているんだなと考えます。
今後の継続的なダリアの普及にはダリア園が不可欠です。
市が支援する形での事業が終了したり、復活のためのクラウドファンディングを成功させたり、運営が大変なところもあると思いますが、全国のダリア園が継続できることを願っております。
地域おこし協力隊としてダリア園に3年携わったからこそ、大変さは知っています。
土作りから分球までの約10ヶ月間、を毎年継続するのは本当に大変なんですよ。だからこそ、日本各地のダリア園は素晴らしい!
そんなダリア園の存続はお客様あってこそですので、ダリアが好きな方はぜひ足を運んでくださいね〜。