『アナログ』
『アナログ』の使い方を間違えていたかも知れない。
俗に、新しいことに疎い人のことを『アナログ人間』と言い、古い物や古い事柄などをひとまとめにして『アナログ』と呼んでいた。
わりと一般的に、そんなイメージで使われているような流れがある。私もついつい便乗して使っていた。
「手紙」とか「文通」とか‥‥今はあまり使わなくなった言葉にビビッと反応し、『アナログ』という言葉と繫がる。言葉の遣り取りにヨコ文字がくると、カッコよく決まる‥‥そんな軽い気持ちで使っていた。
『アナログ』を辞書で引くと、〈情報を連続的な量として扱うこと。そういう仕方の情報処理方式〉と記されている。ムヅカシイ…ワカリヅライ…
分かりやすく言うと、、
デジタル音源の代表がCDなら、アナログ音源の代表はレコードということになるらしい。
分かったような、分からないような…
*連続的データがアナログ、そして、情報を物理量で表す。
*段階的データがデジタル、そして、情報を数字で表す。
…ということだ。
説明すると、ややこしい。
理解に苦しむ。
皆んな、多分、私と同じように、大まかに、テキトーに、自分の都合のいいように、自分の感覚に任せて、解釈して使っているのだろう。
例えば、お菓子作り。材料を計量する。
デジタルのスケールで30㌘計ると30のデジタル表示が目に入る。ひょっとしたら、30.2㌘かも知れないし、30.7㌘かも知れない。目に映らない小数点以下に 0.0〜0.9までの誤差があることに気づく。
アナログのスケールでは、針がピッタリと30㌘を指す。もっと正確さを求めるなら、分銅を使うことになる。昔は、分銅という重りを使い、天秤にかけて目方を計った。
これが、アナログの原点だろうか。
そういえば、体温計もデジタル化して、計測時間の短縮になっている。昔は、5分以上もじっと腋の下に挟んで待たなければならなかった。今は、5秒かかるか、かからないか、、、
腋に挟むタイプもあるが、おデコや耳の穴に当てるものもある。近年は、非接触が主流となり、額にかざすだけ。ものの2〜3秒でピッピッと測定完了の知らせが鳴る。
しかし、これもスケール同様、誤差があるはずだ。大まかな体温は表示されるが、アナログほど正確な値は出ないのかも知れない。
そういえば、私はアナログの時計が好きで、壁掛けも腕時計も、ずっとアナログを使っている。私にとってのデジタルは、時間が迫りくる緊迫感がないのだ。いつもアナログの針を目で追いながら、あと10分、、あと5分、、さあ、出かけよう!!と、行動している。
アナログもデジタルも、それぞれの良さがあるのだろう。古い物、事柄、言葉。そして、進化し続けて行くものたち。私たちの生活に合わせて上手く使っていかねば、と思う。
知人・友人との付き合いも、今の時代は、固定電話より携帯電話での遣り取りが多くなった。ラインやメールという手段も利用するが、急ぐときは電話が手っ取り早い。
便利な時代を誇らしく思う反面、アナログに心を寄せることもある。
久しぶりに、手紙を書いてみようと、便箋とペンを用意した。
季節ごとの花や果実、行事に纏わる絵柄、、受け取った人の笑顔が、在々と浮かんできそうな便箋を選ぶのも楽しかった。そして、近況を知らせると共に、プリントアウトした写真も同封した。
私としては、すごくアナログで心地よい。自己満足だろうか…
受け取った友人も、同じ気持ちでいてくれて、嬉しかった。
まずは、スマホで「ありがとう」の電話。そして、幾日も待たずに「ありがとう」の手紙が届く。
御礼状の御礼状、そのまた御礼状、、、と心地よい文通が続く。
アナログ いいな。
これはアナログって言わないか!!
いやいや、目に見える確かなものを、きっとアナログって言うのだと思う。
アナログという言葉は、本来の意味から遠ざかって、新語として私たちの周囲を飛び交っているのだろう。