気・血・津液・精の相互関係
はじめに
これまで気・血・津液・精についてそれぞれ解説してきました。今回はそれぞれが関係していることを解説します。
簡単におさらいしますと、気・血・津液・精は飲食物から作られます。そしてこれらは生命活動を維持する大切なものです。
気と精の相互関係〜精は気を生む〜
精は気を生みます。まず、五臓六腑の腎に蓄えられている精が気を生むところから解説します。
生理学では腎臓が分泌するホルモンとしてエリスロポエチンとレニンがあります。エリスロポエチンは骨髄に作用し赤血球を増産させます。レニンは血中で変化し副腎に作用してアルドステロンを分泌させます。アルドステロンは血圧を上昇させる作用があります。すなわち腎臓から分泌されるレニンは血圧を上昇させるきっかけを作っているのです。赤血球が満たされ血圧が上がることで気(エネルギー)が旺盛となります。生理学を用いて解説しましたが、腎の精が気を生み出す元となっていると捉えてもらえれば十分です。
気と精の相互関係〜気は精を生む〜
気は精を生みます。先ほど精が気を生むと言って今度は気が精を生むと言っています。どっちなんだい!と言いたいところだと思います。ここが東洋医学の哲学的要素でもあります。気は精を生むとは、気がしっかり巡ることで臓腑の機能も正常に働きます。臓腑が機能すれば飲食したものを精にすることができるのです。これを気は精を生むと言っているのです。
精と血の相互関係〜精は血になる〜
精は血の一部を構成しているとイメージするといいと思います。生理学で言えば血液型や遺伝子という感じです。同じ血でも血液型が違うし遺伝子情報も違います。この違いが精とイメージする感じです。
精と血の相互関係〜血は精になる〜
全身を巡る血は臓腑を滋養します。それにより臓腑は正常な働きができます。その結果、臓腑は精を作ることができます。精を作る臓腑は五臓六腑の脾、胃があります。
そして精と血は密接な関係がります。血が不足すれば精も不足し、精が不足すれば血も不足するといった具合です。また、血と精が同時に不足することもあります。
精と津液の相互関係
精と津液は身体を潤します。どちらかが不足すればもう一方も不足します。特に津液が不足したために精が不足することが多いです。
気と血の相互関係〜気は血を生み出す〜
ここまで来ると解説しなくても想像がつくかと思います。臓腑の機能を発揮させるのは気です。気が巡ることで臓腑が働き血を生みます。気と血も密接な関係にあり、どちらかが不足するともう一方も不足します。特に気と血の両方が不足することが多いです。
気と血の相互関係〜血は気を生む〜
繰り返しの解説ですが、血は臓腑を滋養します。臓腑が滋養されることで正常に機能し気を生みます。
気と血の相互関係〜気は血の流出を防ぐ〜
気は血を運ぶエネルギーとしての作用だけでなく、血管から漏れ出ないように作用しています。死斑という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは死亡すると血液が血管から漏れ出て皮膚から紫色っぽい斑がみられます。死亡するということは、気がなくなった状態です。気がなくなれば血を血管から漏れ出なくすることができなくなり死斑が現れるのです。
気と津液の相互関係〜気は津液を生み出す〜
津液は飲食から生み出されます。そのために水分代謝に関わる臓腑の機能が正常に働く必要があります。臓腑が正常に働くために気(エネルギー)が必要なのです。
気と津液の相互関係〜気は津液を巡らせ流出を防ぐ〜
これは前記と同じ解説になります。血には津液も含まれています。解説は割愛します。
この章のまとめ(ここを読めばだいたい解る)
・精と気、精と血、精と津液、気と血、気と津液、血と津液は相互関係がある
・相互関係は主に片一方が減るともう片一方の減るといった具合で密接な関係がある
・この相互関係を理解することで患者の病気の原因を推察することに役立つ
次回予告
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