幼稚園教諭時代のリアル ~行事とカリキュラムに追われる日々~
私が新卒で勤めた幼稚園は、各学年1クラス20人前後で3クラスある中規模の園でした。園全体の特色として、行事や制作活動が非常に充実しており、子どもたちの日々は、スケジュールがびっしり詰まったものでした。
幼稚園の主なカリキュラムと活動内容
• メイン行事
運動会、生活発表会、作品展、音楽会が年間を通して行われ、それぞれ高い完成度が求められました。
• 制作活動
毎月の壁面制作、2ヶ月に1回の技法を用いた絵画に加え、こいのぼりや七夕、節分、雛人形といった季節ごとの作品も作成。
• 学習活動
年間を通じて取り組むえんぴつワークが1冊、さらに隔週で英語教室、体育指導、音楽指導も実施されていました。
これだけのカリキュラムが組まれているため、子どもたちの1年間の活動はほぼスケジュール通りに進められ、1日に自由に遊べる時間はほんの1時間程度しかありませんでした。
仕事に追われる子どもたちと保育者
年間のスケジュールが細かく決められているため、子どもたちは常に何かに取り組んでいる状態。例えば、風邪などで何日も休んでしまうと、遅れてしまった制作やワークを補うため、自由遊びの時間を削って取り組まなければならないこともありました。
一方、保育者も多忙を極め、常に行事や日々のカリキュラムに追われていました。そのため、結婚後に仕事を続けるのが難しい環境で、結婚すると退職することが当たり前という風潮がありました。担任を持つのも新卒1年目からが基本という厳しい状況の中、毎日を駆け抜けるように働いていました。
忙しい環境でも私が5年間勤められた理由
それでも私がこの園で5年間勤めることができたのは、担任を1人で持つスタイルだったからです。自分のやりたい保育を自由に実践でき、子どもたちの意欲を引き出すためにどうすればいいかを日々考え、すぐに試せる環境は非常にやりがいがありました。そうした積み重ねによってクラスが少しずつ団結していく喜びを感じられたことが、大きなモチベーションになっていました。
一見すると、子どもたちが忙しすぎて「可哀想」と思われるかもしれません。しかし、実際の子どもたちは、保育者から出される課題や行事への取り組みを“遊びの一環”として楽しみ、次は何をするのかワクワクしながら進めてくれていました。その柔軟さや力強さには、毎回驚かされるばかりでした。
規律ある幼稚園の良さ
忙しい日々の中で私が感じたのは、規律ある環境の中で、子どもたちが多くのことを学んでいるということです。
• 与えられた課題に取り組む姿勢
• 課題を乗り越えたときの達成感
• クラスとして団結したときの喜び
これらを経験することで、子どもたちは個人としても集団の中でも成長していきました。日々の積み重ねを通じて学べるこれらの力は、規律ある幼稚園ならではの魅力であり、私自身もその中で保育者として多くの学びを得ることができたと感じています。
クラスへの愛着と今でも続くつながり
保育者として、1から自分で作り上げたクラスの子どもたちには本当に特別な愛着があります。一緒に悩み、笑い、成長してきた日々を思い出すと、今でも温かい気持ちになります。卒園してから5年以上経ってから、保護者の方々で連絡をとって同窓会を開いて招待して頂けたり、子どもたちの中には、今でも連絡をくれる子もいて、「先生、受験に合格しました!」という報告をもらったりするたびに、本当に嬉しくなります。
こうしたつながりが続いていることは、保育者としての大きな喜びのひとつです。当時の大変さも、こうした温かい記憶によって心から「頑張ってよかったな」と思えます。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
幼稚園教諭時代は、行事や制作活動に追われながらも達成感に満ちた日々でした。次回は、そんな幼稚園教諭時代とはまったく正反対の「主体性保育」に取り組んだ保育士時代のお話をお届けします。子どもたちの自由な発想や意欲を尊重する保育がどのようなものだったのか、ぜひお楽しみにしていてください!