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人事担当ハレルヤ氏の採用②

町中の小さな医療機器の組立工場にハレルヤ氏は働いていました。

時に現場で組み立て、時に品質管理、そしてメインは人事担当でした。

新しいパートさんの募集があるとハレルヤ氏が面接し、採否を決めていました。

社内で彼の眼力は認められていたので、彼は思う存分採用の仕事を楽しんでいました。

彼の採否の否の人は、根暗な人でした。

でも時には根暗な人も採用したりしていましたから、そうでもありません。

さて、今回もパート従業員希望の女性の面接です。

ジョジョさん39歳、シングルマザー、子ども二人、生活保護下

採用!

早く仕事を覚えて、生活保護を脱出しよう。

なにしろ、頑張ろうじゃないか!

ハレルヤ氏は、こういう人は積極的に採用しました。

過去の経験からして、頑張らない人は一人もいなかったからです。

ですから、わが社のシングルマザー率の高いこと高いこと。

仕事のスキルは二の次で、やる気だけで採用なのです。

ジョジョさんは不器用でしたが無言で黙々と作業をするタイプでした。

しかし、ジョジョさんはよくミスをしました。

わが社は「失敗は許す」と公言はしていましたが、如何せんミスが多い。

ジョジョさんの適性に合った作業はないものか?

彼女の適性は、「単能工」

同じ作業を繰り返し行うのに優れた能力を発揮するのです。

作業の中で、皆が嫌うチューブ配管作業というのがあります。

シリコンチューブをジョイントでサブ配管する作業で、

ハレルヤ氏はこの非常に単純でありながら根気のいる作業のことを常々

「わたしたちはチューブを繋いでいるのではないのです。
  命を繋いでいるのです。」

と、この作業を再創作して語っていました。

この作業は力任せにやり続けると大体30分くらいで握力がなくなってしまう作業だったのです。

大体男性が中心で行い、女性はサブ的に大勢で一気に終わらせるように段取りをする作業ですが、試しにジョジョさんにやってもらったところ、いつものように黙々と作業をしていくのです。

配管作業にはコツがあって、コツをつかむと力を入れずにジョイント出来るようになります。

彼女は、配管作業に一つの光明を見出したかのように黙々と取り組むようになったのです。

周りの人も喜んだのは言うまでもありません。

納期ギリギリに一気にやらずに済むようになったばかりか、不得手な作業を引き受けてくれる人が現れたのですから。

ジョジョさんには、無理してないか何度も確認しました。

手が痛くなったら休みながら作業をするようにとも、サポートが必要ならいつでも声掛けするように伝え、配管と言えばジョジョさんというようになったのです。

糸のような細いところから広がった可能性は、ジョジョさん自身のやる気が適材適所を体現させたのでした。

黙々とです。

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