ダンディズム考
わたしも学生の頃、かっこいい大人になりたいと思っていました。
かっこいいなぁと思った大人たちは数多くいました。
男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。
君の瞳に乾杯
ハンフリーボガードや007のジェームスボンド(ショーンコネリー)
ジェームスディーン、スティーブマックイーン、ロバートレッドフォード、鶴田浩二、藤竜也、高倉健、ショーケン、松田優作、クリントイーストウッド、ピアースブロスナン等々
何ともスマートでカッコいい。
ダンディになりたい!
希望の青年でした。
新卒で入った会社で15周年祝賀会があるということで、わたしは新人ながら埼玉工場の準備担当幹事を仰せつかりました。
工場の庭に等身大の地球儀のオブジェをつくることになり、休みの日にわたしの師匠である社長と二人でドでかい地球儀づくりをしていました。
昼時になり、社長に昼飯どうしますか?と尋ねた処、カレーを頼む、と。
ちょうどそこの工業地帯のレストランが開いていて、出前も出来たので頼みました。
支払は当然社長、と思っていたのですが、…
社長、財布を見て、金が入っていない。
お金はいつもY子さん(奥さん)が入れておいてくれるんだが、忘れたみたいだ。
すまんが立て替えておいてくれないか。
ということで、わたしが立て替えたのです。
その後、立て替えたカレー代はついぞ返してもらえませんでした。
忘れ去られてしまったのです。
わたしは、立て替えたお金を返してもらえなかったことよりも前に、自分の財布にいくら入っているか知らない社長のことを、
なんてカッコいいんだ!
と思ったのでした。
これこそオレの目指すダンディズム、
オレも自分の財布にいくら入っているか知らなくてもよい大人になろう!
と決めたのです。
その数年後、わたしもご縁あって結婚しました。
新婚生活はそれなりに楽しかった。
落ち着いた頃、わたしはヨメに言いました。
「オレの財布には常に3万円入れておいてくれ。」
そうしたらなんと、
「何言ってんのよ、そんな安月給でできわけないでしょ!」
一瞬にしてわたしの目指したダンディズムは雨散霧消したのでした。
ダンディズムってムツカシイネ…
100Love
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