「祭り」 善方基晴
夏祭りにお客さんとして行く場合の適正な年齢は何歳くらいなのだろう。
まず子どもは親や友達と一緒に行ってたくさん遊ぶべきだろうし、夏祭りの主人公格の存在である。中学生や高校生も地元の友達や好きな人と自分たちだけで遊ぶことのできる特別なイベントだろう。大学生だって友達やカップルで行けば、それはもう絵に描いたような夏の思い出になりそうだ。
ただ、学生ではなくなり、社会人からそれより上の大人になった場合、誰と何をして楽しめばよいのだろうか。
僕の地元の夏祭りは、花火が打ちあがるなどの目玉イベントはなく、屋台がいくつか出て広場の中央にステージのようなものがあって、そこで催し物が開催されるといった具合で、大人だけで行った場合、子どもたちの楽園を邪魔してしまう存在になるような気がした。
先日、自分の地元から少し離れたところでも、昼から祭りが行われていて、それを見た僕の隣にいた人は「賑わいやがって」と吐き捨て、さらにイベントで使われるのであろう大きなバルーンでできた乗り物を見て「おもろな!」と言っていた。
「うるさくしやがって」とか「騒ぎやがって」ではなく「賑わいやがって」という言葉を発するその人にどこか感心しつつも、きっともう僕たちの世代の人間はこの夏祭りのお客さんから外れているのだなと、そこでも実感した。
夜に一人で散歩がてら夏祭りの会場を見に行ったら、イベントは全て終わった後で、僕と同い年くらいの人たちが暗い中、ヘルメットをかぶって汗を流しながら、やぐらを解体したりテントを片付けてトラックに積んでいたりした。
子どもの頃、夏祭りに行ったことはあるけれど、片付けの現場など想像したこともなかったなと思ったり、数人でたむろしている中学生くらいの、まだ家に帰るのは早いけど、特にやることも決まっていないからなんとなく集まっている、みたいな光景を見れたりもした。
善方基晴