僕は地元が兵庫県だから帰省するとよく神戸に行く。 神戸の中心街「三宮」で特にすることはない。でも実家からのお帰り歓迎ムードが14時ごろに消えていくのを感じるのでとりあえず外に出る。 サンプラザという施設の中にあるポケモンシールをたくさん取り扱っている店で1時間物色し、カポエラーのシールを買ってからはもう特にすることがなくなった。 喫茶店に入ってみようかなとも思ったけど、1人でじっとするのが苦手なので近くにあるサウナスパ施設に行くことにした。 そこのサウナ施設にある「ハ
小学生の頃、週一のイベントと言えば習い事だった。 イベントというと、毎週楽しみにしていたかのように聞こえるが、全くそんなことはなかった。 僕は水泳を習っていたのだが、行きたいと思ったことはほとんどなかった。 少なくとも僕は水泳を習いたいと親に言った覚えはない。 今では、あの時水泳を習っていてよかったと思うが、当時は本当に水泳を「習い」に行っていただけでそこに楽しいという感情ややりがいはなかったと思う。 とは言いつつも、プール場内で響いていた音やプー
深夜1時。僕は千歳烏山に向けて自転車を走らせている。ずっと立ち漕ぎで。僕はずっとこの空気を掴んでいる。 週一と決めていた家系ラーメンがどうしても食べたい。一昨日食べたばっかりなのにどうしても食べたい。爆音でCHAGE&ASKA聴いてもどうにも収まらなかった。 急いで自転車を乗り捨てて、千歳烏山駅前にある「武蔵家」に着いた。 深夜1時なのに並んでいる。ここではTM NETWORKを爆音で聴き落ち着かせることに成功した。 横にあるガールズバーは流行っていない。客引きの女の
ふといつもの癖で、写真フォルダを振り返ってて思い出した。 去年は、毎週金曜日に行う楽しみがあったな、と。 去年の5月。金曜日。 夜に出かけたがらない母が急に 「近くの温泉に行かない?」と言い出した。 珍しいと感じながらも、金曜の夜なんて何も予定がなかった私は有り難くその誘いに乗った。 近くと言いながら、向かった先は車で30分弱の温泉施設。夜に母と2人で出かけることなんて滅多にないので、胸を躍らせて温泉へと早歩きをする。 早速さまざまな湯に浸かり、母の気まぐれな提案に感
私は誕生日が遅い。 早生まれとかいう言葉があるが、その通りに1月を1番早いとすると、私の誕生日はとてつもなく遅い。 12月28日だ。 クリスマスも終わり、あとは大晦日までゆっくりしつつ、今年のうちに終わらせることはやっとかないとね。とみんなが年内最後の買い物や用事を済ませている中、 私は満を辞して誕生日がやってくる。 どうせならもっと遅かったら、 12月31日だったら。 話のネタになったり、覚えてもらいやすかったりするだろうに。28日。 学生時代、誕生日といったら
サプライズを明かす際に人間が一番出してきた音 「じゃじゃーん!」 これを言える人と言えない人がいると思う。僕は言えなかった。 じゃじゃーんという音を口にするのは容易だ。ただその音を素直に出せなかった。 僕も何度かサプライズをしてもらったことがある。 大学の昼休み終わりにゼミの教室を開けるとクラッカーの弾ける音とたくさんの拍手に迎えられた。 「お誕生日おめでとう!」とひとしきり言ってもらったあとに奥から手を後ろに組んだ男が満面の笑みで僕の前に立った。 笑顔のしわが
一時期、フラッシュモブの動画を見ることに没頭していた。 フラッシュモブのようなものはテレビなどで見たことがあったが、何かのネタにされているだけで実際にそれを見ることはなかなかできない。 本当にこれを本気でやっている人たちがいるのか、いるとしたらどのような雰囲気で行われているか、本物のフラッシュモブはどのようなものか見てみたくなり見始めてみると、続々と多様な形態のフラッシュモブの動画を見る羽目になってしまった。 まず実際に、動画の中でフラッシュモブを本気で
私はあまり冒険しないタイプだ。 入る飲食店や頼むメニュー、服装や髪型などもあまり変わらない。 チェーン店のソファー席が1番安心する。 それは衣・食に留まらず、娯楽もそうだ。 学生時代、友達と遊ぶ場所は決まって最寄駅から徒歩3分ほどのカラオケだった。 放課後何時間か暇な時間ができた日も、 土日に遊ぼうと集まった日も、文化祭の打ち上げも、結局行き先はそこのカラオケになっていた。 いつものカラオケに行き、あまり広くないので案内される部屋もほぼ変わらない。そこで喋ったり歌っ
高校生の時、文化祭の後夜祭でステージに立って派手に歌っている同級生を体育館の一番後ろから見ていた。 もしも自分が歌が上手い人間だったら、あそこに立って同世代に刺さる良い感じの歌を歌って全員にかっこいいと思われていたのか。 理想としては、普段の学校生活では、特に歌の上手い様子など見せていなかったのに、ひとたびステージの上に立って一人で一節歌ってみると、全校生徒から歓声が上がり、徐々に手拍子が体育館全体に広がっていく。 間奏でも温かい拍手に包まれて、そのステージを終
無機質な音が流れるこの空間が心地良いときがある。 永遠に一切の間を許すことなく、どこかしらかに音が流れていて、外を遮断する。 たまにYouTubeで素人の女の人がカラオケで歌っている動画を見る。 高校生の頃から何度も見返してしまう。あそこに戻りたくなる。 プロのミュージシャンが作ったMVは何度も繰り返しみないのに。 YouTubeで配信されている映画「そうして私たちはプールに金魚を、」の冒頭のカラオケシーンは最高である カラオケの音みたいな人間でいたい。カラオケの
夏祭りにお客さんとして行く場合の適正な年齢は何歳くらいなのだろう。 まず子どもは親や友達と一緒に行ってたくさん遊ぶべきだろうし、夏祭りの主人公格の存在である。中学生や高校生も地元の友達や好きな人と自分たちだけで遊ぶことのできる特別なイベントだろう。大学生だって友達やカップルで行けば、それはもう絵に描いたような夏の思い出になりそうだ。 ただ、学生ではなくなり、社会人からそれより上の大人になった場合、誰と何をして楽しめばよいのだろうか。 僕の地元の夏祭りは
西日本最大級の文化祭が行われている大学に通っていた。でも、僕が4年間で1度も行くことはなかった。 夏休みに東北6大祭りを見るために鈍行列車で東北一周旅をしたり カチャーシーを踊るために大阪駅前第3ビルにある沖縄料理屋に行っていたり 徳島にある阿波おどり会館に行き、1日3回も阿波おどりホールで踊っていた自分がなんで西日本最大級の文化祭に行かなかったのか理由はわからない。 そもそも、そのときの変なプライドを守るためについた自分への嘘など覚えているはずがないのだ。 文化祭
今年もこの季節がやってきた。 最寄駅構内のあちらこちらに、地元の夏祭りのポスターが貼られているのを見て実感する。 花火もあがらない、屋台が並ぶだけの小さな祭り。 ただ、子供の頃の私にとってはその祭りが夏の象徴だった。 小学一年生の私は母に浴衣を着せてもらい、母と二人で行った。 小学三年生くらいから友達と行くようになり、「夏祭りは保護者同伴で行きましょう」という学校の教えを破った。初めて先生の言うことを破った。 小学六年生のときは、当日の昼間に自分のスマホを買ってもらっ
夜中、僕は公園でダンスをしている。 最近できた芝生がとても綺麗で、様々な体力向上器具が設置してある公園ではなく、砂場全面にネットが貼られ、変なイラストの注意書きがたくさん貼られている誰もこない公園でダンスをしている。 はじめて人に言った。僕が夜中の公園でダンスしていることを。はずかしい。 ダンスといっても区民センターの壁ガラスに向かって、爆音でスピーカーから音楽を流し、体全身を使って、警備員が注意できないダンスではない。 僕のダンスは限りなく上半身の力を抜いて、腕をぶ
ちょうどいい鞄がない。 外出するときに何を持っていくか。 私は、よく忘れ物をするので、 家を出る直前に何を持ったか持ってないかと焦らないように、遊びに行く際は必要最低限のものしか持ち歩かないことにした。 スマホ、定期、財布、ハンカチ。 これさえ持っていれば困らない。 その4つをポケットに詰め込み、側からみれば手ぶらの状態でいつも家を出る。 向かう場所がかなり遠かったとしても同様に鞄を持たずに出かけている。 周りからは「あんまり女でそれする人いないよ」とよく言われる。
みんなのポケットの中には何が入っているのだろう。 僕のズボンについているポケットの中身の基本的な構成としては、左のポケットにハンカチと鍵、右のポケットにはポケットティッシュと交通系IC、そしてスマホだ。 小学生の頃、ハンカチとティッシュは遠足のしおりの持ち物チェック表に必ず書いてあるほど「持ち物」の常連だった。それを未だに引きずっている自分は、基本的にハンカチとティッシュを常にポケットに入れて持ち歩いている。 そんな中、ここ数年の間に右ポケットの中で問題が発