「グループ」 善方基晴
僕たちは小さいころから事あるごとにグループ分けされてきたが、自分たち自らグループを作っていることもよくある。
家族や学校のクラスや住んでいる地域の地区班とか、あのゲームをやっているグループとやったことないグループとか、具体的に顕在化していなくても、なんとなく「あいつら」と「自分ら」みたいなグループ分けは常にされてきた気がする。
挙げ続けたらキリがないこの世のグループの数を考えているうちに、グループの具現化の一つともいえる「グループLINE」はこの世に一体いくつあるのだろうと思う。
僕が携帯電話を持ち始めた中学3年くらいの頃からLINEはすでにあって、おそらくクラスごとに「グループLINE」なるものはあったはずだし、その中でもさらに細分化されてクラスの中でも仲良しだけが集まるグループLINEがそれぞれあったと思う。
この社会にグループの数だけ「グループLINE」があるとしたら、それはもうとんでもない数になるはずだ。
例えば、
中央線立川駅勤務社員のグループLINEや、
街の小さな和菓子屋のグループLINE、
西口駐輪場管理事務所のおじさんたちのグループLINE、
製菓専門学校2年4組のグループLINE、
警備会社渋谷地区のグループLINE、
東口交番勤務の警察官のグループLINE、
歯医者の歯科衛生士だけのグループLINE、
府中刑務所の刑務官たちのグループLINE、
バス会社のバスガイドだけのグループLINE、
自民党のグループLINE、
日本サッカー協会のグループLINE、
『人間失格』を出版するための大人たちのグループLINE等々。
どれも実在するのかわからないけれど、本当にこのようなグループLINEがあったとしたら、どんなやり取りが繰り広げられているのかとても気になる。
逆に、サミット三鷹店のバイトのグループLINEが無かったりしたときの驚きは大きい。
いかにもグループLINEが必要そうに見えるのに、グループLINEは無くても円滑にバイトのシフトを回せるとしたらきっと優秀なチーフがいるのだろう。
僕のLINEを見返したら、僕一人だけの「勿忘草」というグループLINEがあった。自分から一人になるためのグループを作っていたのだとしたら、そのグループLINEを作った当時の僕は何がやりたかったのかわからない。
トーク履歴も一切残っていなかったから、なおさらだ。
善方基晴