「写真」 松平
スマホの容量がない。
本当にない。
私が今使っているスマホ、iPhoneSE第2世代の赤。
使い始めてもうかれこれ5年目に突入しようとしている。割と古い方の機種だと思う。
2〜3個レンズがついた新しいiPhoneがかっこよく見えたり、だんだんSEに対応してるスマホカバーが少なくなっていることを切なく感じたりはしたが、これといった不満もなく愛用している。
ただ一年ほど前から、ある通知が来るようになった。
「iPhoneのストレージがいっぱいです」
新しいゲームアプリかなんかを入れようと思ったらそう表示されてしまった。
このアプリを入れる容量がない、という意味らしい。
どうしたものかと思いながら、もうずっと開いてなかった別のアプリを削除し新しいアプリを入れる容量を確保した。
そうすると、新しいアプリがするすると入っていき、無事そのゲームで遊べた。
この時はこれでよかった。
またそれからしばらくして、今度は何も新しいアプリを入れようとしていないのに、またあの「iPhoneのストレージがいっぱいです」の通知が来た。
仕方がないのでまた、アプリを一つ消した。
それからも何回か「iPhoneのストレージがいっぱいです」の通知が来て、仕方がないのでアプリを一つ消す、という日々を繰り返した。
今ではずいぶん寂しいホーム画面になってしまった。
なぜこんなにも、アプリを消しても消しても「iPhoneのストレージがいっぱいです」状態になってしまうのか。
写真が消せないのだ。
山ほどある写真と山ほどある長尺の動画が。
このnoteを書いている現在、
アルバムを見てみると45000枚の写真と500本の動画があった。
スマホの容量の9割をこのアルバムに吸われている。大変なことだ。
不要な写真や動画は消すべきだし、消さなくともPCにデータを移行するなど、この世には賢い保存方法がたくさんあると思う。
だが、
暇な時にすぐスマホのアルバムを開き、適当にスクロールする。
目に止まった写真の日付けと時間を確認し、この時の自分はどうして、どんな思いでこの写真を撮ったのか、保存したのかを思い出し、想像する。
大体が特に意味のない昼ごはんの写真や、昔ハマってたアイドルの画像、学生時代のノート写真など、取るに足らないものなのだが、
こんなにも私の人生の軌跡を事細かく見れる媒体はなく、振り返るのをやめられない。
消せないし、移行できない。
だから今日も、
写真は消さずにアプリを消していく。
気分はリストラを下す人事部のような。
今の私のホーム画面には、
LINE
X(旧ツイッター)
Gmail
Yahoo!乗り換え案内
しか残されていない。
インスタも容量がなさすぎて消してしまったし、YouTubeもブラウザで見ている。
真っ先にYahoo!乗り換え案内消せよ!!という意見は受け付けていない。