「サプライズ」 松平
私は誕生日が遅い。
早生まれとかいう言葉があるが、その通りに1月を1番早いとすると、私の誕生日はとてつもなく遅い。
12月28日だ。
クリスマスも終わり、あとは大晦日までゆっくりしつつ、今年のうちに終わらせることはやっとかないとね。とみんなが年内最後の買い物や用事を済ませている中、
私は満を辞して誕生日がやってくる。
どうせならもっと遅かったら、
12月31日だったら。
話のネタになったり、覚えてもらいやすかったりするだろうに。28日。
学生時代、誕生日といったら
教室に入ったらクラスのみんなから「おめでとう!」と言われ、机の上にはたくさんのお菓子が置いてある。
あのパーティーといえばの襷こそかけないものの、本日の主役になることのできる日。
そんなイメージがあった。
これは8月生まれの人も共感してくれると思うが、学校が長期休み中に誕生日がくる。
平日に、普通に登校をして、「今日誕生日なんだって?おめでとう!」と声をかけられることが人生で一度もなかった。
羨ましい。
誕生日にちょっとしたコンプレックスのようなものが芽生えていった。
2023年12月28日。19歳の誕生日。
私は夜行バスに乗っていた。
NSCの東西戦のために大阪に移動中だった。
専用のバスを用意してくださったので、同期だけが乗ったバス。
その中で誕生日を迎えた。
自分からアピールしたのか、誰かが気づいてくれたのかは覚えてないが、みんなが誕生日を祝ってくれた。
側から見たら
何気ない、日常の瞬間に過ぎなかったかもしれないが、
私は結構、本当に嬉しかった。
私にとってはサプライズを食らったようなものだった。
誕生日に登校して、クラスメイトに「おめでとう!」って言われる人はこんなに嬉しかったのか。
そう思うとやっぱり羨ましい。
いつか、誕生日を迎えるのが憂鬱になるその時まで、「おめでとう」を噛み締めようと思う。