甲州とミュスカデの違い、見分け方【ソムリエ・ワインエキスパート試験】
今回は甲州とミュスカデの違いについてです。
近年のJSAは日本ワインが大好きで、過去7年で2021以外ソムリエかワインエキスパートどちらかで出題されているので頑張りましょう。
2品種の共通点
どちらも色調が淡く、果実味も穏やかで、アルコール度数も低いです。
よく言えば飲みやすい品種ですし、悪く言えば個性がない品種でもあります。かなり淡くてニュートラルならこの2品種の可能性が高いですね。
シャルドネもニュートラル品種ではありますが、第一アロマ(ブドウ由来の香り)がニュートラルなだけでMLFや樽はよく取れると思います。
この2品種のどちらかであることは分かるようにしたいですね。
2品種の相違点
外観
どちらも淡い品種ですが、1番の違いはピンクのトーンです。甲州はグリ系品種なのでピンクっぽく見えることがあります。
大事なのは、「ピンクのトーンが入っていたら甲州」は正解ですが「ピンクがないので甲州ではない」は不正解だということです。グリーンがかっている甲州も当然あります。
また甲州は樽熟成することもあり、その場合ベージュのような暗いトーンが入ります。
どちらかと言えば甲州の方が無色に近いですが、色調だけで決めるのは危険ですね。
香り
甲州は丁子(クローブ)の特徴香が有名です。クローブはスーパーやカルディのスパイスコーナーで買えるので嗅いでみましょう。吟醸香や米のとぎ汁といった表現もよく使われます。
ソーヴィニョン・ブランのグレープフルーツの香りである3MHを含むため、ゆずやスダチといった和柑橘の香りも取れます。
またニュートラル品種であるため樽を使った場合、樽香を結構しっかり感じることが多いです。
ミュスカデはシュール・リーによるパンドゥミ(イースト香)が特徴的と言われますが、甲州でもよく感じられるので、パンドゥミがあるからミュスカデと断定はできません。(そもそもイースト香が分からない人はカヴァや安いシャンパーニュで勉強しましょう。熟成期間が長くなるとトースト、ブリオッシュ、ジンジャーブレッドのような表現になるので、パンドゥミを理解するためには安い方がむしろ良い気がします。)
他に柑橘や青リンゴ、濡れた石、火打石のような香りも取れることが多く、香りだけだとシャブリに近いですね。
シャブリやアリゴテ、閉じているときのSBやシュナン・ブランにも近くミュスカデと断定することは難しいです。まずMLFをしているかどうか確かめましょう。(シャブリ、アリゴテとの判別)
SBやシュナン・ブランとの判別は味わいで考えます。
味わい
どちらも似通った味わいですが、酸の量が異なります。
基本的に甲州と比べてミュスカデの方が酸が少し高いです。試験のコメントではどちらも「爽やかな」で良いですが、差があることは意識しておきましょう。
逆に果実味はミュスカデより甲州の方が感じやすいので、果実味と酸のバランスを考えてみてください。
ミュスカデは果実味が少ないため酸が強調されて感じますが、酸の量自体はSBやシュナン・ブランより低いです。
甲州はグリ系品種なので苦味があることが多いです。白ワインの苦味を取るのは慣れないと中々難しいですが、慣れると品種や樽の有無の特定にかなり役立つので練習してみましょう。
甲州のまとめ
甲州は無色に近いほど淡くてピンクのトーンが入ることがあり、香りはニュートラルで丁子、吟醸香、和柑橘のような特徴香があります。樽を使う場合色調は濃く暗くなり、樽香が取れます。味わいは酸が中程度で果実味があり、苦味を感じることが多いです。
ミュスカデのまとめ
ミュスカデは淡いが甲州よりは濃いです。香りはパンドゥミ、柑橘、青リンゴや火打石などの還元香も感じます。(シュール・リーをすると還元的になりやすいです)
味わいは酸が比較的高いです。果実味が少ないためより強調されて感じますがSBほど高くはないです。
試験的テクニック
甲州は特定できるポイントがいくつかありますが、ミュスカデは消去法で考えていくことが多いです。
ただそれでも甲州かミュスカデか分からない時もあると思います。
そういった時のための小手先のテクニックの紹介です。(あくまで小手先のテクニックなので推奨はしません)
それは品種:甲州 生産国:フランスと解答することです。
これにより甲州の時でもミュスカデの時でも全外しはなくなります。
そもそもこの2品種で迷う時点でコメントの方向性はかなり近いので2択を外しても受かると思いますが、こういったテクニックがあること自体は知っておいても良いでしょう。
原理的には品種:ミュスカデ 生産国:日本でも良さそうに見えますが、前述したようにシャルドネ、アリゴテ、SBなどの可能性もあるので国をフランスにしておく方がカバー範囲が広くなります。
できれば小手先のテクニックよりしっかり違いを認識して判別できると良いですね。
それではまた。
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