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「フォロワーの影」4

第四章: 失望の中の光


真琴は再び目を覚ましたが、その日はいつもと違った。フォロワー数が急激に減ったことは、SNSでの彼の世界においては大きな打撃だった。これまで築いてきた全てが崩れ去ったように感じられ、失望感が彼の心を包み込んだ。

カーテンを開けることもせず、真琴はベッドの中で丸くなり、スマホを握りしめていた。何かを確認する気力さえ湧かなかった。昨夜の投稿は失敗だったのだろうか?真琴は何度も自問自答した。「本当の自分を見せる」ことが、ここまでの結果をもたらすとは予想していなかった。

画面を覗くと、コメント欄は依然として炎上していた。否定的な声が続き、その一つ一つが彼を打ちのめしていた。しかし、その中にポツリと、いつものフォロワーからのコメントがあった。

「君は大丈夫だよ。仮面を外したことを誇りに思うべきだ。」

その言葉に、真琴は涙が出そうになった。誰もが彼を非難する中で、ただ一人、このフォロワーだけが彼の選択を支持してくれている。それが彼にとって救いだった。

その日、真琴は外に出る気力もなく、一日中自室に閉じこもっていた。SNSを閉じ、スマホを机に置き、ただぼんやりと時間が過ぎるのを待っていた。何もかもが虚しく感じられた。

夕方、窓の外が薄暗くなり始めた頃、真琴のスマホが突然鳴った。普段なら即座に手に取るところだが、その日は無視することに決めた。しかし、しつこく鳴り続けるその音に、真琴はついに根負けし、画面を確認する。

メッセージは、大学時代の親友・佐藤からだった。

「大丈夫か?最近元気ないように見えるけど、話したいならいつでも言ってくれよ。」

そのメッセージを見た瞬間、真琴は涙が止まらなくなった。佐藤はずっと彼を気にかけてくれていたのだ。真琴はそのことに気づかず、SNSの世界に埋没して、自分が大切にしていた人々との関係を疎かにしていたことを深く後悔した。

彼はすぐに返信した。

「ありがとう、ちょっと話したいことがあるんだ。」

翌日、真琴は久しぶりに外に出て、佐藤とカフェで会った。彼は自分の気持ちを正直に打ち明けた。SNSでの成功と、それに伴うプレッシャー。そして、「本当の自分」を隠してきたことによる葛藤を。

佐藤はじっと話を聞いてくれた後、静かに言った。

「お前が感じていること、全然おかしくないよ。俺だって、もし同じ立場だったらそう感じると思う。だけど、SNSって現実じゃないからさ。お前の本当の価値は、フォロワー数とか、いいねの数とかじゃ測れないんだよ。」

その言葉は、真琴の心に深く響いた。彼はこれまでSNSでの評価を自分の全てだと思い込んでいたが、佐藤の言葉はその考えを覆した。

「それに、俺はずっとお前のこと応援してるからさ。本当の自分を見せるのが怖くても、お前はお前のままでいいんだよ。」

真琴はその瞬間、少しずつではあるが、自分の中に新しい光が差し込んでくるのを感じた。フォロワーが減ったとしても、真実を見つめ直すことで得たものがあった。佐藤のような友人がいて、自分を支えてくれる存在がいる。それこそが、本当に大切なものだということに気づき始めたのだ。

その夜、真琴は再びスマホを手に取った。SNSのアプリを開くと、まだコメント欄には批判的な声が続いていたが、それでももう怖くはなかった。真琴は意識的に深呼吸をし、ゆっくりと一つ一つのコメントに目を通した。

「何で急にこんな投稿を?」
「以前の君が好きだったのに。」

その言葉には重みがあったが、真琴は「今の自分」を見つめ直す決意をした。その中で、再びあのフォロワーのコメントが目に入る。

「誰も完璧じゃない。それが人間だからね。」

その言葉に、真琴は思わず微笑んだ。誰もが完璧でなくてもいい、というメッセージ。それはまさに、彼が求めていた答えだった。

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