企業も脱炭素を望んでる(JCLPが提言)
本日の毎日新聞に、「企業側が再生可能エネルギー促進を国に要求」といった記事が掲載されていました。日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は気候危機を食い止め、日本の経済成長を実現するための提言を環境大臣に提出したとのことです。日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)とは、持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループ です。現在252社が加盟しており、総売上高は157兆円の規模です。
JCLPの提言は8ページのコンパクトなもので、すぐに読めます。この中には、参考文献も記載されているので、裏付けを確認することも可能です。提言では、日本経済が長期の横ばいを脱却し、今後確かな成長を実現するには、脱炭素分野での競争力の確保が極めて重要だと述べられています。
日本では、再生可能エネルギーを使おうとしても、調達が困難だとのこと。RE100(事業で使用する電力をすべて再生可能エネルギーにする方針を決定している企業)に参加する日本企業の数は世界第2位ですが、参加企業の再生エネルギー使用比率を国際比較すると、欧州84%、米国77%、中国50%、日本25%だそうです。
提言では、2035年の電源構成における再生可能エネルギーの比率を60%以上にすべし、と求めています。日本には再生可能エネルギーのポテンシャルが大きく、屋根置きに重点をおいた太陽光発電と洋上風力を導入加速し、電力系統整備や系統の柔軟性向上といった電力インフラを改革すれば、目標達成は可能だとしています。
この提言の別添資料を見ると、メガソーラーを除いた太陽光発電のポテンシャル数値が示されています。住宅の屋根だけで175GW、オフィスビルで235GW、営農型(農業とソーラーパネルを併用する)で771GW、耕作放棄地利用262GWなどとなっており、全て合計すると1497GWとなります。これは現在の電力総需要をはるかに上回っており、太陽光発電だけでも日本に必要な電力を賄えることが示されています。(これ以上メガソーラーを増やす必要はありません)
また、太陽光発電や風力発電は投下される資金の国内への還流率が火力発電に比べて高くなっており、国内産業の活性化に大きな役割を果たすことが述べられています。さらに、再生可能エネルギーは分散型エネルギーであり、地方に雇用と所得をもたらす、地方創生の有効手段であるともされています。再生可能エネルギーの地産地消を進めることで、エネルギーに関する収支が改善されます。福島県では、再生可能エネルギーの発電量が電力消費量を上回ったとのことです。
私は、日本経済を活性化するために、脱炭素への投資を加速し、技術革新を行うことが必要かつ有効だと考えていたのですが、まさにJCLPの提言がこの考えを裏付けてくれたと思いました。JCLPの提言を読まれていない方、詳細を確認したい方は是非、ホームページを参照してください。