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楽しい日本?良いかも。
安全で安心、でもそれだけじゃ物足りない。夢に向かってチャレンジし、明日はもっとよくなると希望が持てる。価値観が違っていてもお互いを尊重し、それぞれが自己実現を目指す。そのような社会を「楽しい日本」と名付けて、そんな日本を目指していきましょう。
このように言われたら、あなたはどう答えますか。
「楽しい日本」私は結構賛成です。もう少しキャッチーな言葉の方が好きですが、方向性には賛同致します。
新しい日本を創る上で、持続可能で自立することを重視する必要があり、そのために価値観の転換が求められます。
確かに、人口減少社会が加速していく日本においては、既存のやり方から何か新しい手法へと変革する必要があり、その前提として価値観そのものを転換すべきです。
上記太字部分は1月24日、石破首相の施政方針演説の冒頭部分、国づくりの基本軸として述べられた主旨を私の解釈で少し言い換えたものです。
この施政方針の中で、気になった部分、注目した箇所をまとめてみます。
地方創生2.0「令和の日本列島改造」
第1の柱(若者や女性にも選ばれる地方)
・人の流れを太くするため関係人口に着目し、都市と地方といった2地域の拠点とする活動を支援する。「ふるさと住民登録制度」(地域に継続的に関わり、地域づくり活動に参加する担い手を登録する)のようなものを検討したい。
・男女の賃金格差を是正するための法案を提出する。
各地で事業設立を考えている若者、女性の意見を聞き、起業の障害を解決し、ネットワーク構築を支援する。
・地方版政労使会議を開催し、地方の賃金が上昇する環境を創る。
・自動運転の実装を加速するため制度を整備する。
・教職員の働き方改革、処遇改善を進めるため、地方公務員の兼業・副業の弾力化、会計年度任用職員の在り方を見直す。
第2の柱(産官学の地方移転と創生)
・防災庁など政府関係機関を地方へ移転させ、最適立地を推進する。従来の取り組みを検証するため地方からの提案を募る。
・都市部に立地する企業の本社機能の移転実現のため環境を整備する。
・東京23区内の大学等の定員を抑制し、地方大学の人材育成を進める。
第3の柱(地方イノベーション創生構想)
・世界有数の潜在力をもつ日本の農林水産業・食品産業を高付加価値化し、基幹産業とする。スマート化、大区画化を強化する。米を輸出するプロジェクトを推進する。林業、木材産業施策として、集約化、技術開発、普及、森林資源の循環利用を進める。
水産資源管理を実施し、スマート化、海業を全国に展開する。
・文化芸術スポーツを振興し、効果的に広報し、地方創生に繋がる観光産業を活性化させる。
・エンターテイメント、コンテンツ産業につき、海外展開を支援し、クリエイターを育成し、働く環境を整備し、2033年までに海外売上高を5兆円から20兆円へと4倍に増やす。
第4の柱(新時代のインフラ整備)
・カーボンプライシングの制度化および循環経済への移行に向けた法案を提出する。
・AI、半導体分野に50兆円以上の投資を引き出す環境整備のための法案を提出する。
第5の柱(広域リージョン連携)
・都道府県の枠を超えた広域連携の新たな枠組みを推進する。
施政方針演説はまだ続きますが、長くなるので、一旦ここで切ります。
石破首相が力を入れているのは地方創生です。「令和版日本列島改造」と言われています。列島改造といっても道路、鉄道のようなハードのインフラよりも、ソフトの魅力で新しい人の流れを生み出したい、ということだそうです。
ソフト面の工夫により、若者や女性が地方で働けるような地域づくりを考えているようです。ふるさと住民登録制度、中身はよくわかりませんが面白そうです。政府機関が地方へ移転すればかなりの影響はあるでしょう。国政の仕組みを考えている人たちが東京ではなく、どこか地方へと散らばって住んでみれば、地方の状況がよく理解できるでしょう。
石破首相は製造業よりも農林水産業に注力されています。食料の自給率を上げると共に、地方で働く人の賃金を上げるためには、農林水産業の付加価値を高めて、稼げる、儲かる事業に変革することが有効だと思います。
文化、芸術、スポーツと観光がうまく結びつけば、地方全体が活性化するかもしれません。地方でのスポーツや文化的なイベントとローカルグルメや温泉などを組み合わせると、首都圏在住の人も喜んで地方へ観光に行くでしょう。
エンターテイメント、コンテンツ産業の拡大には期待しています。2033年まであと8年で4倍に拡大したらすごいですよね。すでに、世界IP売上ランキングにおいて、日本生まれのキャラクターは世界一です。ベスト10に、ポケモン(1位)、キティちゃん(2位)、アンパンマン(6位)、スーパーマリオ(8位)、少年ジャンプ(9位)と、5つも入っています。でも、まだ海外に知られていないコンテンツがいっぱいあると思います。まだ伸び代はたっぷりあるはずです。
施政方針演説には石破首相のやりたい事がまとめられています。これは選挙の公約とは異なります。選挙で当選するかどうかわからない段階で、空手形のように告げられた声ではなく、総理大臣という職務につき、少数与党の立場になって、選挙前とはかなり状況が異なる中で、首相という立場で述べられた施政方針です。実現可能性が高い、と感じていることを述べられたはずです。今後どのような政治が行われるのか、注目したいと思います。