平戸に好感を持った訳
先月訪れた平戸島は美しい景観だけでなく、日本の歴史にも関係する文化的な魅力(平戸オランダ商館、松浦史料博物館、平戸城と公園内にある平戸ツツジの原木、鄭成功廟など)もあるし、海の幸にも恵まれています。これだけでも十分に魅力的なのですが、それ以外に、好感を持ち、応援したいと思ったことがあるので、それについて書いてみたいと思います。
平戸海上ホテルについて
私は平戸海上ホテルに2泊しました。このホテルは開設が1964年と古く、60年が経過しています。海のすぐそばに建っているので、汐風を受けて、傷みも目立ちます。外観の印象は、古びて冴えないホテルです。内装はかなり傷んでいるし、使えない設備もありました。しかも、台風の被害を修復するため、ホテルの周囲に足場が組まれていたせいで、部屋からの眺めが今ひとつでした。本来なら、とても素晴らしい景色が見られたはずで、これはかなり残念でした。
それでも私が好感を持った点は以下の通りです。
ホテルの立地(海の眺望)が良いこと
昭和レトロの雰囲気を持っていること
料理が美味しいこと
部屋が広くて、畳の部分と洋室の部分があり、眺めが素晴らしく、ベッドが新しくて上等で、かつトイレ、洗面台と部屋の風呂が最新型にリフォームされていたこと
電気自動車用の充電器付きの駐車場が四台分用意されていたこと
おそらく、このホテル、かつては団体客で賑わったことでしょう。団体向けの食堂が数多く用意されていましたが、今は使われていない様子です。部屋もかなり多く、収容人数規模は大きいはずですが、スタッフの人手が足りずに、たとえ宿泊客が増えても対処できないと思われます。宿泊客数を増やすには限界があり、古びた設備を全て刷新するだけの資本もないのだと想像します。そこで、限られた予算を部屋の設備(ベッド、風呂、トイレ、洗面台)だけに集中投下して刷新し、限られた人数のスタッフで可能な範囲のサービスを提供して、細々と生き残りを図る、そんな戦略なのではないか、と思いました。
平戸市のふるさと納税について
平戸市に好感を持ったこと、およびホテルで食べた海の幸が美味しかったので、平戸市にふるさと納税して、海産物の返礼品をもらおうと考えました。ふるさと納税用のサイトをいくつか調べたのですが、平戸市は出てきません。そこで、大手のサイトで探すのはやめて、直接、平戸市のホームページにアクセスしました。平戸市はふるさと納税特設サイトを運営しており、そこを窓口としています。
サトフルとか、ふるなびといったサイトから探せないとなると、返礼品目当ての人の目には留まらないはずです。平戸市に寄付したいと思う人しか訪れないでしょう。それでも構わない、と割り切っているのだと思います。
長崎県の中で、有名な観光地といえば、長崎市、雲仙、ハウステンボスといったところが思い浮かびます。平戸は観光地としての知名度が乏しいです。新幹線も通らないし、交通も不便です。平戸を訪れる観光客の大半は、長崎県内と福岡からで、首都圏や大阪方面からの訪問はあまり期待できません。平戸市はその辺りを十分に把握しており、割り切っているのかもしれません。その中で、なんとかやれる範囲のことを頑張っている、そんな印象を持ちました。
平戸新鮮市場で販売していたタイやアジは大きくて新鮮で、とても安く、羨ましいと思いました。雨宿りのため、平戸城の近くにある図書館に入ったのですが、そこから見える景色がまた絶景で、こんな眺めのよい図書館など他にはない、と感じました。経済的には平戸の財政は厳しいのかもしれませんが、それを補うだけの魅力を備えた良いところです。日本には、私の知らない魅力的な場所がまだまだたくさんあるに違いない、そのように感じた次第です。