純喜のバンドが怪獣の花唄を歌うまで3

喫茶店からの帰り道、楽器屋さんの前に今度はえらい猫背の翔也くんと大夢くんがいて「…何してんの」って声かけたらカバッって効果音つきそうなくらい勢い良く顔上げた2人が「どおしよ景瑚くん、純喜くんのギターがなかった!」「誰かが買っちゃったのかな…」と景瑚くんに駆け寄ってくる(可愛い)

純喜のギターはお父さんが楽器屋さんに目配せして裏に下げさせてたの思い出してもう何から話せば良いか分かんないから「お前らタコパすんぞ」って肩組んで2人を連行する景瑚くん。「はっ?またたこ焼き?なんで?!」「なにーーどういうことすかえ景瑚くんー?ねーー!」って引きずられながら文句言う2人とスーパー行って謎にタコパして、昼間に解散してから起きたことを全部共有してから香信くんにも明日の予定連絡して解散。

次の日の夕方、純喜くんの家の最寄りに集まる4人。「…香信なんでスーツなん」「なっ…大人なんだからスーツだろ!先輩たちがおかしいんすよ社会人なめてんすか!」「なあ翔也、おれ変じゃない?お母さんケーキ好きかなあ」「大夢くんお母さんと結婚しようとしてる?」なんだかんだ話しながら歩いてたら"河野"の表札を発見。急に緊張してきて4人で立ち尽くしてたら家の中から晩御飯の匂いが漂ってきて、いくしかないだろ!ってインターホン押す景瑚くん、ほーいって響く純喜の声

玄関から顔覗かせて目を丸くする純喜くんに「…声デカ」って目合わせずに呟く香信くん。笑顔取り繕って何か言おうとする純喜くんと流されまいと口を開く景瑚くんが言葉を発する前に、後ろから豪快な足音立てて純喜パパ登場、「いらっしゃい!!待っとったで上がって!「…っは?」純喜ほら!スリッパ出し」戸惑いを隠せない純喜くんをよそに「おっ!君がセンスの塊の翔也くんやな!」って歓迎しまくるお父さん

よく分からない空気のままみんなでご飯食べたけど元々可愛がられ力の強い翔也くんと大夢くんがいたこともあってめちゃくちゃ和やかなムードの河野家。何しにきたん…?って痺れを切らした香信くんが食後のデザートが出てきたタイミングで「あの、河野先輩」って切り出したらお父さんが「俺も河野やで」とか言い出して顔を顰める香信くんと爆笑する純喜くん。

「誰が誰から何聞いたんか知らんけど、昨日の話やったら、やらんで」って貼り付けた様な笑顔で純喜くんが言った直後、勢い良く立ち上がる翔也くん「あの!純喜くん!俺!見て!」差し出したスマホの画面には純喜くんのギターの写真。「これっあのっ」って言葉が出ない翔也くんの代わりに静かに話し出す景瑚くん「昨日あの店行って、売ってもらった。あの楽器屋のおっさん顔覚えててくれてさ、俺らがきたら渡そうと思ってたって、楽器は未練が残ってるまま手放すなって」

優しく見守るお母さんの前で次々に喋り出す面々「純喜。やりたいんやろ」「純喜くんお願い、俺フリーターだよ、こんなギター買ったらカツカツだよ」「こ…純喜先輩、俺の才能無駄にするんすか」「純喜くんおれ、ずっと諦められなかった。もう終わりって言うなら、ちゃんと諦めさせてよ」もう多分全部知られてるんだろうなって観念した純喜くんはそれでも断ろうとして「でも俺、忘れんねんで」って悲しそうな笑顔みたらついに景瑚くんが耐えきれなくなって「お前なあ調子乗んなよ!勝手に始めて勝手に終わらせられると思うなよ!みんな純喜が大切なんだよ!俺らの大事なもんお前が捨ててんだぞ分かってんのか!」って聞いたことない声出すからみんなドン引き

「…俺、俺さあ、ギターとか…お前らとか、めっちゃ好きやねん。お前らとやりたいことが、まだまだあるよ」ごめん、って誰とも目を合わさないで言う純喜くんに涙を堪えるお母さん、4人の反応を固唾を飲んで待つお父さん。分かりやすく顔輝かせる大夢くん、何故か息止めてたからはーーーー!って深呼吸する翔也くん、っっとに…もー…って呆れながらもにやける香信くん。固まったままの景瑚くんの顔覗き込んだ純喜くんが「景瑚、お前、ドラム出来る?」って笑って、なんでもない顔で返事しながらやっと時間が動き始めたって内心考える景瑚くん。

大夢くんは元々上司に鬼可愛がられてたから「バンドやります」って会社に言ったらみんなに守られながらいつでも戻ってきてねって言われて円満退社、香信くんはネクストブレイクバンドのキーボードだったからちょっと揉めて元バンドマンのレーベルの社長に「お前がやりたいならやれ、但し、簡単に戻れると思うなよ。チャンスを待ってる奴は五万といるんだ」って言われて同席した景瑚くんが(嫌味な奴)って思ってたら「実力をつけろ。実力で黙らせろ。俺は、お前を買ってる」「はい。マジでありがとうございました」ってあの生意気な香信くんが頭下げるからより覚悟が決まる純喜くん。

純喜がアメリカに行く前にちょっと大きめのハコでライブ出来るのが決まって、いろんな思いはありつつあの頃みたいに毎日練習して毎日かけがえがなくて楽しい日々を過ごす5人。ついにライブ1週間前の練習終わり、純喜くんに呼び出される景瑚くん。「なあ俺、最後にやりたい曲あんねんけど」っていきなり切り出される寒い夜、「…最後って何」見ないようにしてた現実を感じてつい言葉尻がキツくなる景瑚くんを笑う純喜くん。

「俺なあ、アメリカ行くねん」「知っとるわそんなこと」今までなんだかんだちゃんと話してなかった話題、絶妙な空気。「そんなしょーもない話やったら帰るよ」っていう景瑚くんにそおやんな、って笑う純喜くん。いつもの笑顔で「景瑚、この曲ライブでやるから。覚えてきてな」って譜面渡してほなな〜ってヘラヘラ手振りながら帰ってって、渡されたのは怪獣の花唄のドラム譜。我に返って「…は?!1週間でこれ練習すんの?!」となる景瑚くん。あのやろー!って川に向かって叫んで爆笑。

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