外務大臣会見記録 2023年12月8日(金)
11時13分 於:本省会見室
冒頭発言
第2回グローバル難民フォーラム
【上川外務大臣】
まず、私から1件ございます。
諸般の事情が許せば、私は、日本が共催国を務める「第2回グローバル難民フォーラム」に出席するため、12月12日から14日まで、スイス・ジュネーブを訪問する予定であります。
現在、世界では、1億人以上の難民・避難民が発生しております。
現下のイスラエル・パレスチナ情勢やロシアによるウクライナ侵略など、世界各地で長期化する紛争により、人道状況は悪化の一途をたどっています。
本フォーラムへの参加を通じて、短期的な人道支援に加え、より未来を見据えた、中長期的なアプローチの必要性や、難民・避難民問題の解決における「女性・平和・安全保障」、いわゆるWPSの考え方の重要性などを強調しつつ、人道状況の改善に向けた国際社会の団結と協力強化を呼びかけたいと考えております。
私からは以上です。
日本の難民政策
【共同通信 桂田記者】
冒頭発言のあったグローバル難民フォーラムについてお伺いします。
日本の難民政策をめぐっては、認定率が低い点などに批判的な見方もありますけれども、大臣は、難民政策において、日本が期待されている役割をどうお考えでしょうか。
【上川外務大臣】
難民、この問題につきましては、法務省におきまして、難民条約に従い、難民と認定すべき者を認定するなどしているものと承知しております。
また、さきの入管法等の改正法によりまして、人道上、真に保護すべき方々を確実に保護するため、補完的保護対象者の認定制度も創設されたものと承知しております。
さらに、難民認定とは別に、日本は、2010年度から、第三国定住による難民の受入れも実施しているところでございます。
今回、日本は、フォーラムの共催国のひとつとして、人道状況の改善に向けた国際社会の団結と協力強化を呼びかけるとともに、第三国定住による日本への難民の受入れを含めまして、世界の難民・避難民問題の解決に向けた支援をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
日韓関係 (元慰安婦訴訟)
【NHK 五十嵐記者】
日韓関係の関連で伺います。
慰安婦問題をめぐり、韓国の高等裁判所が、先月23日、日本政府に賠償を命じる判決を言い渡し、その上告期限が本日となっています。
上告をするのかどうか、また判決が確定した場合の、今後の日韓関係の影響について伺います。
【上川外務大臣】
まず、元慰安婦等が、日本国政府に対しまして提起をした訴訟に関し、日本政府が上告するのかにつきましてお尋ねがございました。
我が国といたしましては、国際法上の主権免除の原則から、本件について、日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められないとの立場でありまして、日本政府が上告する考えはございません。
続きまして、同判決が確定した場合に、日韓関係に与える影響についてのお尋ねがございました。
従来から述べているところではございますが、日韓両国は、国際社会の諸課題の対処に協力していくべき重要な隣国同士であります。
北朝鮮が弾道ミサイル技術を用いた発射を繰り返すなど、現下の厳しい戦略環境を踏まえれば、日米・日米韓と並び、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされる時はないと考えております。
こうした中におきまして、日韓両首脳のリーダーシップの下、日韓関係を積極的に動かしてきたところであります。
引き続き、様々な面で取組を進めていく考えであります。
同時に、日韓間に存在する諸懸案につきましては、引き続き、適切に管理をし、相手国と、相手方と、緊密に意思疎通を図るべきことは当然と考えております。
今回の判決につきましては、国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反するものでありまして、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない旨、先般の日韓外相会談を含めまして、既に韓国側にも申入れをしているところであります。
引き続き、韓国側が適切な措置を講ずることを求めてまいりたいと考えております。
外国からの偽情報を含む情報操作
【読売新聞 上村記者】
偽情報についてお伺いします。
6日に、外務省と米国の国務省との間で、外国からの偽情報を含む情報操作について共同で対処する、という合意がなされました。
外国からの、日本における偽情報に対する大臣の現状認識と、米国とどのような協力を進めたいかについてお伺いさせてください。
【上川外務大臣】
まず、海外からの情報操作の脅威、これに対しての認識という御質問でございますが、偽情報を含めます外国による情報操作、これは民主的プロセスや、また、国際協力を阻害する情報を意図的に流布するものでありまして、本年のG7外相会合、また、広島サミットでは、このような情報操作への懸念を共有し、切迫感を持って対応すべきという認識で一致をいたしました。
引き続き、価値観を共有する国や、また地域機関との協力を進め、外国による情報操作に効果的に対応してまいりたいと考えております。
続いて、外国からの情報操作への対応における米国との協力についてのお尋ねでございますが、外国による情報操作への対応におきましては、検知
そして分析、対応というそれぞれの段階での能力強化が重要と考えているところであります。
米国とは、6日に署名いたしました協力文書に基づきまして、今後、お互いの情報や分析を共有することで、能力強化を図っていきたいと考えております。
日本政府のハマスへの対応
【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
ありがとうございます。
私の質問はパレスチナ被占領地についてです。
ハマスはガザでの民主的な選挙に勝利していますが、日本はハマスをテロ組織と公式にみなしているのでしょうか。
また、その決定の背景にある理由は何でしょうか。
【上川外務大臣】
テロにつきまして、国際的に確立した定義は存在いたしませんが、一般的には、特定の主義主張に基づきまして、国家等にその受入れ等を強要し、また、社会に恐怖を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知しているところであります。
我が国政府といたしましては、そうした一般的な意味においてテロという用語を使うことはございます。
今般のハマス等の攻撃でありますが、多数の一般市民を標的として、殺害や、また誘拐を行う残虐な無差別攻撃であります。
我が国といたしまして、これを「テロ攻撃」として断固として非難しているところであります。
その上で、我が国は、2003年9月30日付の閣議了解によりまして、ハマスについてテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としているところであります。
また、本年10月31日付の閣議了解によりまして、ハマス関連の9個人及び1団体をテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としたところでございます。
政治資金の問題
【毎日新聞 村尾記者】
パーティー券の問題について伺います。
国会でも、連日質問を受けられておりますけれども、改めて、大臣のこれまでのご経験の中で、ノルマを超えてパーティー券を販売し、そのノルマ超過分の還流を派閥から受けていたというご経験はございますでしょうか、事実関係について伺います。
【上川外務大臣】
この場におきまして、議員個人としての対応についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
【毎日新聞 村尾記者】
関連で伺います。
昨日の参院外交防衛委員会では、大臣、議員個人としての対応については、別途対応してまいりたいと答弁されていますけれども、これ、いつ、どういった場で対応するお考えなのでしょうか。
【上川外務大臣】
御質問の議員個人としての対応ということでありますが、これは別途検討してまいりたいと思っております。
検討中であります。
【毎日新聞 村尾記者】
すみません、関連で、最後1問だけ。
官房長官にも、今朝方から報道で大きな疑惑が持たれていまして、政権そのものが揺らぐような事態となっております。
岸田内閣の一員として、こうした事態にどう対応すべきだとお考えでしょうか、お考えをお願いします。
【上川外務大臣】
この場におきまして、この御質問のような形での答弁につきまして、政府としての立場でお答えすることにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
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