見出し画像

【哲学対話】「コンステレーション」

昨年度の学びを振り返り一部編集し綴っています📖

Atelier in Dialogue
〜コンステレーション〜

スランプだ。増える業務量、力不足による不安、事業計画との乖離により表情が曇る。頭がいたい。二日酔いでもないのに…しかしストレス度は想像しているより高くない。寧ろストレスがあまりない状態に近い。まあいい。今日も実践しよう。自宅で鏡を見たら自分に微笑む。そんなマイルールを。『なんくるないさ〜』とふるさとの言葉が優しくからだを包む。

黒い布の手さげ袋
満員電車を避けて自転車で二駅先の明大前まで向かい京王井の頭線で通勤し朝の負担を軽減させる。そして帰り道は気分転換にいつもと違うルートで家路に向かう。すれ違うチャイルドシートの母娘。小学生ぐらいの女の子がスマホを見ながら座っている。よくみる風景。すれ違い100mほど進んだ先に私の自転車のライトが黒い布の手さげ袋を照らしている。子供が落とした袋に違いないと考え拾って母娘を追いかける。交差し離れた距離はなかなか縮まらない。拾った先から少し離れた場所でようやく追いつき怪しまれない様に声をかける。「この袋落としました?」すると「違います」とあっさりとした返事。「わざわざ追いかけてきてくれたのですか」との声掛けと会釈をして去っていく母娘。

一瞬で落とし主が不明となった。

手さげ袋の中身を確認すると家鍵が入っている。落とし主は困っているに違いない。隣駅になるが近隣の交番へ届けよう。自転車を5分ほど走らせて交番に到着するとパトロール中の看板があり誰もいない。交番内の受話器で落とし物を届けたいので近場の交番について聞くと10分ほどで警官を派遣するとの事でそのまま待機となる。手さげ袋には携帯電話も入っていた。中身から年配の方の落とし物と予測される。無事に届いて欲しい。持ち主に!

待ちぼうけ
寒空の下、警官を待つがなかなか来ないので交番前を行き交う人々眺めていると遠くから不安そうな表情をした年配の女性が交番へ近づいてくる。その女性の表情を見ながら密かな期待を胸に抱く。私の手元の黒い布の手さげ袋をみると一瞬で表情が変化した。「やはり持ち主だ」密かな期待が確信となる。

きっとシンクロニシティだろう
「持ち主さんですか?」と声を掛ける。声を震わせながら「そうです」と呟く年配の女性。もう少しで警官が到着するので立ち会いのもと引き渡す旨を伝えると「そうしてもらえるとありがたいです」と返答される。どうやら一人暮らしで親戚は遠くに住んでおり、誰とも連絡が取れず家に入ることが出来ないのでどうしたらいいのか困っていたと涙ぐみながら話された。そして警官が到着し確認作業を行い無事に引き渡し完了となる。様々なタイミングが合わなければ家に帰れずに困ったであろう。感謝を述べられた後にそれぞれの家路へと向かう。

コンステレーション
ふと星空を見上げながら気がついた。自分の存在は仕事だけではない。スランプなんて関係ない。自分を信じよう。そして笑おう。いつもの様に。

※哲学対話の題材については一次情報の実体験を基に綴っています。

いいなと思ったら応援しよう!