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友達からの四葉 5

慎重に選考しました結果、浅原翔月様を採用内定といたしましたので、ご通知申し上げます。」

やっと、やっと、
待ち望んでいた時がきた!

とても長かった。
やっぱり一年無職の期間があって、その間
人に言えるようなことをしてきていなかった俺はやっぱり時間がかかった。

クラブに入り浸り、家賃を払わず家を追い出され、いろんなところから借金をして、道端で寝ていた期間をなんて言おうか、
本当に難しかった。

俺は前の会社でエンジニアとして働いていた。
それなりに名前の通った会社のシステムエンジニアとして働き、
あの頃の俺は仕事に対しての熱は誰よりも負けなかった。
仕事が面白くて仕方がなかった。
辞める少し前には大きな仕事ももらえるようになってきていた。
だけど、偉い人の知り合いなのか息子なのかわからないやつが途中から入ってきてから俺の会社での立ち位置が変わってしまった。あいつは俺の仕事にケチをつけるようになって、最終的には自分のミスを俺になすりつけてきやがった。
俺がなにを言っても、誰も聞いてくれなかった。

それでも仕事に対して真面目に取り組んでいたから、エンジニアとしても腕は少しはあるはずだと自分を信じて就職活動を頑張った。

転職活動は思ったよりも大変だった。
転職サイトに登録するにしてもどのサイトがいいのか、
自分が入れる会社を集めるのにも一苦労だし、
探してる情報が見つからない時もあるし、
逆に見つかりすぎることもあるから
もう頭の中がパンクしそうだった。

陽翔に報告しなきゃ

この日は少し豪華な夕飯にした。

「ただいまー」
「おかえり!」
「おーなんか今日は豪華だな。どうしたんだよ、いいことでもあった?」
「なんだと思う?」
「えーなんだろ、」
「ジャーン!」

俺は陽翔に採用メールを見せた。

「お!決まったのか!おめでとう!」

陽翔は自分のことのように喜んでくれた。

「よく頑張ったな」

ハグもしてくれた。
頑張ってよかった。

「今度お祝いしてやるよ」
「本当に?」
「なにがいい?欲しいものがあるなら買ってやるし、行きたいところとかやりたいことがあるなら連れていくぞ」
「うーん、コンビニケーキ食べたい。」
「コンビニケーキ?そんなものでいいのか?」
「うん。それがいい」
「なら夕飯食べたら買いに行くか?」
「行きたい!」
「あっ!それじゃあさ、銭湯行かね?銭湯行って帰りにコンビニケーキ買って食べよ。」
「それいい!最高!そうしよ!」
「そうしよっか!」

それから俺たちはいつもよりも少し豪華な夕飯を食べて、銭湯で汗を流して、コンビニでケーキ、ではなくてアイスを買って帰りながら食べた。

「風呂上がりはやっぱりアイスが食べたくなっちゃったね。」
「そうだね」
「明日ちゃんとしたところでいいケーキ買ってくるよ」
「いいよ、このアイスで十分」
「この200円以下のアイスでいいのか?」
「うん」
「もっと欲を出してもいいのだぞ」
「もう十分すぎるほど助けてもらってるから」

「そっか」

<続く>

こちらに1〜4をまとめています。

続きの6話はコチラ


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