掌編小説「気遣いをしているつもりの泥棒」
少し前から時々町を騒がしている泥棒がいる。
どうやらこの泥棒は二人組らしい。
被害に遭った家の一人息子がその泥棒を見たというのだ。
一人はガタイの良い若い男で、
もう一人は男みたいな女だと。
この泥棒と言ったら、
金目のものには目もくれず、
新聞紙や雑誌、段ボールなどの古紙、牛乳パック、アルミ缶・スチール缶、瓶、古い布、まだ使える家電
を盗んでいくのだ。
そう、この町にいる泥棒は廃品回収できるものを盗んでいくのだ。
これを盗んで業者に渡しているのか、それとも普通に捨てているのかわからないが、もし業者に渡して、奨励金をもらっているなら立派な犯罪だ。
いや、人の家から物を盗んでいる時点で犯罪ではあるか、
問題は、まだ若いであろう泥棒がなんでそんなことをしているのだろうか。
金目の物を盗むならまだしも、どうしてほとんどゴミのようなものを盗むという考えに至ったのだろう。
何か、盗みたかったのだろうか、
何かは盗みたいが、金目のものは怒られそうだから、あとは回収されるだけであろう廃品回収できるものを俺たちが回収してやろうという、ちょっとした気遣いなのだろうか。
それは気遣いなのか、
わからない・・・