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短篇小説「悪魔のたくらみ」 2

私はたまに考えるんです。

人間になれたらなって。

人間になれたら、とびっきりのオシャレを頭からつま先までするんです。
わたしはいつも服を掛けられます。
私がいる店はどうも人気店らしくて、
掛けられた服は次々に売れていき、
次々に新しい服が掛けられていきます。

なのでたくさんのオシャレな服を掛けてはきましたが
ざんねんながら私に掛けられるのは一つだけ。
いろんなアイテムをあわせて全身のオシャレをしたいんです。
店員さんがオシャレな服をオシャレに着こなして、
オシャレな靴にアクセサリー、
帽子までかぶって歩いている姿を見たら
誰だって憧れますよ。

もし人間になれたらワンピースを着たいんです。
こうやって、ロングスカートのすそをふわっとゆらしながら、あとサンダルも履いてみたいんですよ。

なんてことを考えながら日々を過ごしていました。

そんなある日、白い手紙がとどいたんです。
これによると、普段いい行いをしているものたちの願いを一つ神様が叶えてくれるそうです。

あーついに私が人間に・・・毎回ずり落ちそうな服が落ちないように耐えたかいがあったな、
結構大変なんだよな、こう、全神経をまだかかってる部分に集中させて、
ちょっとの振動が来てもがんばって耐えて、
楽しみだなー、花柄のワンピース着て、麦わら帽子かぶって、

53番地の路地裏のランタン前に佃煮と炊き立てのご飯を準備して22時にお待ちください。
佃煮の種類はそちらにまかせます。
佃煮・・・すきなのかな、
つくだにを作らないといけないのか、
やったことないけどいけるかな、
はっ!今何時?21時過ぎてんじゃん!急がないと、材料!材料買いに行かないと。


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