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【BEASTERS】感想

はじめに

 今回はBEASTERSの感想を語る。感想を共有したい人や作品に興味があるけどまだ見てない人におすすめだ。なおアニメ一期までのネタバレを含むので注意してほしい。

あらすじ

 草食と肉食の動物が共存する社会で、それぞれの種族は本能を抑圧して暮らしている。草食は食べられる恐怖を…肉食は獰猛な力と食欲を…そんな抑圧社会を舞台に、学園生活を送る動物たちの群像劇である。

感想

 個人的にはラブホテルのシーンが最も面白かった。なぜかというと、高まった期待感に対して心地よく裏切られたからだ。

 オオカミの主人公レゴシは自分の中の肉食としての本能を完全に押し殺して生活していた。しかし、あるとき押し殺していたはずの本能に目覚め、ウサギ(ハル)を食い殺しそうになった。    
そのことをきっかけに自分の本能に嫌気がさして消えてしまいたいと思う一方でレゴシはハルに好意を抱くようになる。食べたいという強い本能がやがて熱い恋愛感情へと変化していくのだが、そう簡単に本能を制御できるわけもなく、苦しむことになる。
 彼が彼女と唯一対等になれるのは本能を押さえ込み、彼女に受け入れてもらうことだった。

 一方で、ハルは草食のウサギであり、なおかつウサギの中でも小さい部類のドワーフウサギであった。それゆえ、誰からも哀れまれ、弱くて守ってあげる存在としか見られない。そんな生まれながらの弱さに絶望して辛いことを仕方がないことだと諦めていた。しかし、相手が唯一自分を対等と思ってくれる瞬間があった。それがセックスをする時である。セックスをするときだけは自分が弱い存在だということを忘れさせてくれた。

 そんな2人が危機を乗り越え、意図せずラブホテルで一夜を過ごすことになる。レゴシの今までの長い葛藤とハルの明かされた本音の先にある答えを求め、期待感が高まる。しかし、ハルの本能がレゴシを拒絶してしまう。ここまで来て2人は本能の壁を越えられないのかと衝撃を受ける。この高い期待からのまさかの落下だ。個人的にレゴシに共感していたため、ショックが大きかったけれども、彼らの成長を感じたし、改めて肉食と草食の壁を強く意識することになったとても良いシーンであった。

最後に

 私は【BEASTERS】を見て、【寄生獣】という作品の中の人間は暇な動物でだからこそ他の動物を思いやれる的なセリフがあったのをふと思い出した。
 【BEASTERS】は動物を擬人化した作品で動物たちが人間のように他を思い合って生活している。それはおそらく本能を抑圧したことで暇を得ることができたからではないかと思う。だとすると我々人間も何かに抑圧されることで暇を得ていて、その結果誰かを思いやることができているのかなと思った。

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