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主人公らしくない主人公 映画【BLUEGIANT】感想

  1. はじめに
     前回BLUEGIANTの評価と見所を記事にしたが、改めてネタバレありで感想を語ろうと思う。

  2. 観終わった瞬間の第一声
     ところで、あなたがこの映画を観終わった後、第一声はなんといっただろうか?またはなんと言いたくなっただろうか?観客の第一声は大まかに2つだろう。それは『音楽がすごかった』と『CGが酷かった』である。文字通り、音楽は良かったがCGがひどく、この2つのどっちが強く印象に残るかで、この映画の評価が決まるだろう。しかし、今回の記事では、この2つにはあえて触れずに語る。

  3. 主人公らしくない主人公
     私がこの映画で注目したのは、JASSのメンバーである3人の関係性というか物語上の役割である。結論から言うと主人公であるダイは主人公らしくない。そのために、他の2人が主人公らしさを補完している。
     主人公らしいとは、『キャラに共感できること』と『弱点がある』という2点のことであると定義する。1つ目の『キャラに共感できること』というのは大前提の要素であり、当然ダイも持っている。なぜダイに共感できるのかというとその精神性にある。ダイは誠実にジャズに向き合い、行動力も向上心もあり、どんな状況でも心が折れない。まさにthe主人公という感じだ。しかし、それゆえに2つ目の要素の『弱点』がダイにはないのだ。弱点があるから、悩みや葛藤が起きる。そして、その苦しみを乗り越える姿を見ることで人は感動する。正直、その葛藤がないため、精神性以外でダイに感情移入することはなかった。一方で、他の2人にはしっかりと弱点がある。だからこそ、劇中ではダイの葛藤がない代わりに、他2人のドラマが中心に語られている。主人公はダイであると思い込んでしまうが、3人が揃って始めて、主人公になるのである。

  4. 最後に
     ダイは実は物語上のラスボスではないかと私は考えている。バトル漫画では、最強のボスを倒すために主人公たちは戦い、成長する。今回のBLUEGIANTもジャズの申し子であるダイと肩を並べて演奏するために、他2人が努力し、成長している。私は終始、ダイの尽きることのない向上心とアッと言わせる才能がまるで敵であるかのように恐ろしかった。

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