自殺未遂
自殺未遂をした。
まずはカーテンのレールに紐をくくりつける。
しっかりした紐じゃないと切れてしまうよ。
そして輪っかを作り台に足を乗せそのまま首をかけ台を蹴る。
簡単なことだ。
やってみた。
苦しい。
苦しい。
死にたくない。
反射的にそう思ってしまった自分に反吐が出る。
もがいた、気がする。
ばたばたする体。
生きたいと願う本能。
数秒経つと今度はガタガタ言ったような気がする。
これは自分の歯が奏でている音だと気づいた。
すごい速さで回転する脳。
あ、昨日あのテレビ面白ろかったな。
あ、一昨日のバイトでミスしたな。
走馬灯かな。
何かはわからないが次々に思い出す。
意識を失った。
目が覚めた時にはベッドの上だ。
親曰く、レールが私の体重に耐え切れず真っ二つに折れてしまったようだ。
穴という穴から体液が出た。
糞尿、鼻水、涙、諸々を垂れ流したまま倒れていたそうだ。
人間ってすごい。
あんなに死にたいと願ったのに。
縄に首をかける前は不思議と怖くなかった。
やっと解放される。
これで楽になれる。
そんな気持ちで満たされていた脳が、縄に首をかけただけで。
生きたい。
死にたくない。
まるで正反対なことを考えるのだから。
死ねない。
また死ねなかった。
後遺症が出るかもしれないと言われた。
親の泣きすする声。
それを聞いて俯くことしかできないわたし。
何だやっぱり生きてる価値ないじゃん。
今度は死んでやる。