MNI×IFMSA 国境なき医師団 勉強会part2(2024/01/29)
こちらの記事は、MNI×IFMSA 国境なき医師団 勉強会1(2024/01/28)の記事の続きです。(パート1の方からお読みください)
国境なき医師団の設立背景
1. 舞台は1960年代のナイジェリア内戦
現在、2億1300万人ほどの人口を抱えるアフリカNo.1の人口大国ですが、
1960年にイギリスから独立したばかりでした。
独立した同時は、ナイジェリア国内は大きく4・5つの部族に分かれていたようです。
独立から7年後の1967年。『東部州のイボ族』(紫色の地域)が勝手に独立(国名:ビアフラ共和国)を宣言。ナイジェリア政府が激おこで、内戦が勃発します。
独立を認めないナイジェリア政府は『食料補給路封鎖』を行います。
これによりイボ族(ビアフラ国)の民間人が大量に餓死し、餓死した人数は文献によりますが、50万人〜150万人とも言われています。
この悲劇は『ビアフラの悲劇』とも言われ、地理の授業でも出てくるそうです。
この内戦に、国際赤十字の1員として参加していた若きフランス人医師が、のちのち国境なき医師団の創設に関わってきます。
2. 機能しない国際赤十字
1960年代、国際医療支援団体として、大きな柱の1つであった国際赤十字。
ここに参加していた若きフランス人医師がいました。
フランスからナイジェリアに派遣されて、医療物資も調達されている。
しかし一向に、援助のGOサインが送られてこない。
結局、この内戦では援助のGOサインが出なかった。
勉強会では、ここで参加者に問いを投げました。
ヒントとして以下の3つを提供しました。
どうでしょうか。
なんとなく活動出来なかった理由に気付けるかなと思います。
答えとしては、『政治的に自由に動けなくなった国際赤十字』と言うことができます。
『活動資金元の国から同意が得られない限りは、活動資金が枯渇し動くことができなくなる。』というお金の流れを発端とする問題点を抱えていたと言うことになります。
実際に、中枢である赤十字国際委員会が、ナイジェリア中央政府に医療支援活動の許可を得ようと交渉しますが、その交渉に失敗します。
それにより、活動にGOサインを出すことが出来なかった訳ですね。
3. 新勢力の台頭
国際赤十字が政治的理由により、活動できなかった状況を打破する勢力が現れます。それがキリスト教系の団体でした。
下の図のように、陸路はナイジェリア政府に封鎖されているため、空路・海路によって食料調達を試みます。
そこで海外からの食料調達の中継基地となったのが、以下の図にあるSao Tome島でした。海外からSao Tome島へ航空機によって食料を調達し、そこからイボ族へ食料を運搬したと記されています。
国際赤十字に参加していたフランス人医師たちは、惨劇を前にしても動かない赤十字に義憤を覚え、こちらのキリスト教系団体の活動に参戦します。
また当時、国際赤十字には『沈黙のルール』がありました。
これは、どちらの国にも加担することがないように、現場で起こっていることを発信することを禁止する制度でした。
しかし、Joint Church Aidのチームは、この惨劇の現状を多くの人に伝えるため、世界に向けて発信しました。
この悲劇や惨状は世界の人々に衝撃を与え、結果として世界中の人々が人道支援の課題に関心を持つようになります。
内戦は1970年に終わりを迎えます。
4. 国境なき医師団の結成
ナイジェリアから帰国したフランス人医師たちは、1971年12月『国境なき医師団』(Médecins sans frontières)を創設します。
基本原則として以下の2つを添えます。
国際赤十字の問題点をアップデートした国境なき医師団ができる訳です。
資金源
国境なき医師団の活動資金は、民間の寄付でまかなわれています。
国境なき医師団HPにも、『それは資金の独立性と透明性を保ち、どんな権力からの影響を受けず、自らの決定で必要な場所へ援助を届けるためです。公的資金の割合を抑えることで、活動の自由を確保しているのです』と明記されています。
2.現地からの証言
『現場で何が起こっているのか』
それを正確に多くの人へ伝える信念があるために、ジャーナリストを初期メンバーに加えて、活動を開始したのですね。
他の医療支援団体よりも発信に力を入れている理由がわかりました。
終わりに
以上が、2024年01月29日に行われたMNI×IFMSA 国境なき医師団の勉強会の内容になります!
今後は、『国境なき医師団に派遣された医師へのインタビュー・交流会』を企画しています。
国際医療支援、その他ベンチャー企業に興味ある方は、ぜひ以下の連絡先に一報ください。
【連絡先】 北大医学部起業部(MNI):meth.hokui@gmail.com
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