出会いが人を動かし物事が動く
MASC設立の背景には出会いがあった
福祉の分野では活発な女性の活躍が目立つ。あまり言うと怒られそうだけど、周りの状況、社会的な背景、業界のルールなど無視して「ああしたい」「こうしたい」を障害当事者に寄り添う形で発言をし、行動に移す方が多いように感じる。それが、現スタッフでもある、徳江さやかである。
彼女との出会いは、2007年頃だったと思うが、確かmixiだったかな。「バリアフリー映画鑑賞推進団体 シティライツ」で視覚障害者と一緒に、当時は音声ガイドをささやいて鑑賞していた団体のメンバーでした。彼女からある相談が舞い込んだ。「洋画の吹き替えと音声ガイドを録音したい」と。「録音した音源を再生してFMラジオに流して鑑賞したい」
音声ガイドを録音した日
私は当時、スタジオの音響エンジニアだったので、スタジオを使えればそれは簡単に出来た。しかし公にスタジオを使うのはさすがに無料という訳にはいかず、会社の会議室に最低限の機材を入れて録音することにした。スタジオの機材はミキサー卓を始め1億円以上するが、数万円の機材で同じように録音するという初めての作業。いろいろ工夫し、これはこれで新鮮だった。
彼女を始め、シティライツのメンバーが数人集まり、吹き替え、音声ガイドナレーションの録音をした。皆さんいろんな会社で働いているボランティア。皆さん映画が大好きで「視覚障害者にも映画を楽しんで欲しい」とその熱意にまず驚いた。
映画館では手動で同期させる
録音した音源はどうやって、映画の進行に合わせて再生するかというと、常に「映画本編の音声」と「音声ガイド」がズレていないか確認しながら、再生機器のスピードをコントロールするとのこと。そのためこの音声ガイド音源は、Lch:音声ガイド、Rch:本編音声 2chでした。
(MAの世界では基準となる音をLchにするため、後に、Lch:本編、Rch:音声ガイド をマスターの基準とした)
この時私が思ったのは、“音源を手動で同期させている以上、その日、その場所でしか使えず、この音声ガイド付き上映は広がらない”と。そこから自動で同期する方法の模索が始まった。
次々と生まれたもの
NPOの名称:メディア・アクセス・サポートセンター
ロゴマーク:虹
定款:4事業「アーカイブ」「教育」「開発」「普及促進」
名称とアイコン:おこ助、おと見、おきく(落書きから)
日本財団の助成金で1年間の実験を開始(蒲田宝塚・テアトル蒲田)
サイト名:「映画みにいこ!」 等
これら全て、徳江が生み出したもの。つまりMASCの設立、活動履歴において、技術に強い私と、自由奔放な彼女との出会いが大きな推進力になっているのです。
訪問し説明、協力を頂いた法人・団体のみなさま
そのほか、沢山の方々との出会いがあり、物事が進んできましたので、以下、法人名のみ記載します。今考えると、基本人見知りな私が全てを訪問し、協力を依頼したわけで、内心よくやったなぁと思うが、皆さんには心から感謝しています。
日本映画製作者連盟(松竹、東宝、東映、KADOKAWA)
日本映画製作者協会(映画製作者が加盟)
全国興行生活衛生同業組合連合会(全国の映画館が加盟)
日本映像ソフト協会(映像ソフトを発売する会社が加盟)
日本動画協会(アニメ製作会社が加盟)
全日本ろうあ連盟
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
日本盲人会連合(現:日本視覚障害者団体連合)
日本ライトハウス(視覚障害者支援団体)
日本点字図書館(主に点字図書、録音図書の製作、貸し出し)
日本図書館協会(全国の図書館が加盟)
日本脚本家連盟(脚本家が所属する著作権管理)
シナリオ作家協会(脚本家が所属する著作権管理)
日本文藝家協会(原作者の著作権管理)
日本映画監督協会(映画監督の地位向上)
JASRAC(音楽著作権管理)