知床の原生林伐採
<知床の原生林伐採>
三百歳のミズナラを倒すとき
いい匂いがしませんでしたか
飛び散るおがくずと
舞い上がる森の芳香
三百歳のミズナラが倒れたとき
あなたの胸に響いたのは何ですか
三百年の地響き、森の呻き
そして微かな優越感
雪残る知床に踏み入り
樹々を抱いて守った人たち
ミズナラは冷たくありませんでしたか
森はあなたの熱を奪いませんでしたか
私には娘が生まれました
名を朝の水とつけました
娘は森の匂いを好きになってくれるでしょうか
蘇り蘇り
ミズナラの中を大地が走る
繰り返し繰り返し
私は遠い知床の森の匂いに思いを馳せる
ミズナラは私と娘をどこまでつないでくれるでしょうか